アンネ・イムホフのパブリック・アート「Wish You Were Gay」が破壊。「愛、創造性、自由への攻撃」

オーストリア・ブレゲンツ市内の主要通りに設置されたアーティスト、アンネ・イムホフによる6枚のビルボード「Wish You Were Gay(君がゲイであってほしい)」が破壊された。

破壊されたアンネ・イムホフのビリボード 出典=アンネ・イムホフのInstagram(@anne_imhof)より

 7月23日、オーストリアのブレゲンツ美術館で開催中のアンネ・イムホフ展「Wish You Were Gay(君がゲイであってほしい)」の一環として、ブレゲンツ市内の主要通りに設置された6枚の同名のビルボードが破壊。イムホフが自身のInstagramで報告した。

 イムホフはドイツ出身のパフォーマー/メディア・アーティスト。2017年の第57回ヴェネチア・ビエンナーレでは、ドイツ館の代表作家として参加し、国別参加部門で金獅子賞を受賞。近年はロンドンのテート・モダン(2019)、パリのパレ・ド・トーキョー(2021)、アムステルダムのアムステルダム市立美術館(2022)などの主要美術館で個展を開催し、2022年には国際芸術祭「あいち2022」にも参加した。

 6月8日〜9月22日にブレゲンツ美術館で開催されているイムホフの展覧会は、個人的な調査と新たな作品群を紹介するもので、大規模な絵画や彫刻、舞台作品、照明、そしてアーカイヴ映像を用いた新しいヴィデオ作品などが展示されている。

ブレゲンツ市内の主要通りに設置されたアンネ・イムホフ「Wish You Were Gay」のビルボード
Photo: Markus Tretter. Courtesy of the artist © Anne Imhof, Kunsthaus Bregenz

 今回の事件に対してイムホフは、「(作品が破壊された)様子を見るのは非常に痛ましく、私は本当に傷ついている」としつつ、次のように述べている。

 「『Wish You Were Gay』は、LGBTQIA2S+の経験を持つ人々にとってchosen family(注:血縁や法的な関係のない「家族」を意味するLGBTQ+コミュニティにある言葉)の美しさと強さを讃えるラブソングでありながら、同時に彼らが日々直面する深刻な闘争と敵意をも証言する作品である。この攻撃は愛、創造性、自由に対する攻撃であり、LGBTQIA2S+コミュニティへの憎悪犯罪を示すものであるが、それによって我々のホモフォビアや差別のない世界への希望を奪うことはできない」。

 今回のビルボードは、1997年からブレゲンツ美術館のパブリック・アートの場として設置されている。イムホフによれば、破壊されたビルボードは近日中に修復される予定だという。

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