ロシアによるウクライナ侵攻を受け、昨年ロシアの本館と決別したアムステルダムにある美術館「エルミタージュ・アムステルダム」。同館が新しい名称と国際的パートナーを発表した。
新館名は「H’ART Museum」で、今年9月1日より発効する。改名と同時に、同館は大英博物館、ポンピドゥー・センター、スミソニアン・アメリカ美術館との新たな国際的パートナーシップも発表し、パートナー美術館のコレクションを今後同館で紹介することを明らかにした。
ロシア・サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館の名を冠し、2009年に開館した同館。開館以来、ロシア本館のコレクションを中心とした大規模な美術展を開催してきたが、本館との関係を断つことによってそのような展覧会の開催が不可能になった。
今回の発表について同館は声明文で「新たなスタートを切る」ものだとし、今後は「アートの団結力を示し、世界への窓を開く」と述べている。同館館長のアナベル・バーニーは次のようにコメントしている。
「私たちにとってエキサイティングな新しいステップであり、現代的で未来志向のモデルだ。私たちは、国際的な分野での経験をもとに、さらに大きく羽ばたこうとしている。私たちのプログラムは、私たちが生きている時代を反映した多声的なものになるだろう。大がかりな展覧会だけでなく、親しみやすいプレゼンテーションも行う」。
同館では、2024年半ばにポンピドゥー・センターとの共同開催によるカンディンスキー展、2026年には大英博物館との「フェミニン・パワー」展を予定している。アムステルダム市制750周年を記念する2025年には、アメリカのライデン・コレクションと共同で大規模な展覧会が開催され、同コレクションに所蔵されているレンブラントの作品17点が初めて一堂に公開されるという。