ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続くなか、欧州連合(EU)はロシアとベラルーシに対して大規模な制裁を課している。この制裁によって、美術館の所蔵作品が押収される結果となった。
フィンランド税関は4月1日から2日にかけ、フィンランドとロシアの国境検問所であるヴァーリマーで3件の船舶による美術品輸送を阻止。うち1隻を押収したと明らかにしている。artnet newsによると、その額は保険金で4200万ユーロを超えるという。
この貨物には絵画と彫刻が含まれており、フィンランド税関執行部長のサミ・ラクシットは捜査対象の貨物は「通常の取締業務の一環として発見されたもの」だと説明。作品はイタリアや日本からフィンランドを経由してロシアに輸送途中だったもので、展覧会からの返却作品だ。
ロシアのタス通信によると、これら押収作品には、イタリアからの返却作品としてエルミタージュ美術館や国立トレチャコフ美術館の所蔵品が、日本からの返却作品としてはロシア国立東洋美術館とプーシキン美術館の所蔵品が含まれているが、すでに返還に向けた準備が進められているという。
EUはロシアへの制裁措置として、美術品を含む高級品の販売や供給、譲渡、輸出を禁止しており、BARRON'Sはこれまで10人がこの制裁を破って美術品を輸送した疑いがあると報じている。