平⾯美術の領域で国際的にも通⽤するような将来性のある若い作家の⽀援を⽬的に1994年より毎年開催している「VOCA展」。過去の出展者には奈良美智、村上隆など現在日本のアートシーンを牽引する現代美術家たちや、Nerhol(田中義久・飯田竜太)、玉山拓郎、水戸部七絵、川内理香子など新進気鋭の作家たちが名を連ねている。
今年で30回目となる「VOCA展2023」のグランプリ「VOCA賞」を受賞したのは秋田県出身の永沢碧衣。受賞作となった《山衣(やまごろも)をほどく》は、永沢が秋田の里山で狩猟を実践し、さらにマタギが奥山でおこなう狩猟を観察する経験から、神獣であり害獣でもあるツキノワグマを雄大な山容に溶け込むように描いたもの。人間と異種の関係を問い、時空を超えた生と死の循環がダイナミックに表現されている。
「VOCA奨励賞」にはエレナ・トゥタッチコワと七搦綾乃が、「VOCA佳作賞」には黒山真央と田中藍衣が選出された。また、七搦は大原美術館が同館独自の選考を経て決定する「大原美術館賞」も受賞している。
今回選考委員を務めたのは、家村珠代(委員長 / 多摩美術大学教授)、荒木夏実(東京藝術大学准教授)、植松由佳(国立国際美術館学芸課長)、川浪千鶴(インディペンデント・キュレーター)、前山裕司(新潟市美術館館長)、の5名となった。
なお、これらの作品を一堂に展示する「VOCA展2023」が、2023年3月16日〜30日まで上野の森美術館で開催されるほか、VOCA展30周年を記念した「VOCA 30 YEARS STORY / KOBE」展も原⽥の森ギャラリー(兵庫県⽴美術館王⼦分館)開催される。VOCA1994〜2022までの歴代のVOCA賞受賞作品30点を東京以外の会場で⼀堂に展⽰する初の試みも見逃せない。