史上最大の現代美術作品とされるマイケル・ハイザーの《City》がついに完成した。一般公開は9月2日からスタートする。
大規模な屋外彫刻や、岩、コンクリート、鉄などの素材を使った作品で知られているハイザーは1970年から半世紀にわたり《City》を制作し、ついに完成を迎えた。ネバダ州の砂漠にあるこの作品のサイズは長さ約2400メートル、幅約800メートルにおよび、土や岩、コンクリートによる丘や窪みによって構成される。
アメリカ先住民の伝統的な墳丘建築や中南米の古代都市、エジプト建築の研究などを融合させた同作は、古代の儀式用建造物を想起させながら、近代都市の形態も示唆するもの。作品の制作にあたっては、ハイザー自身の出資に加え、アメリカ各地の個人や組織より支援を得ている。また、作品を所有・管理しているトリプル・オート財団は当初、同作のための基金を設立し3000万ドル近くの資金を提供したという。
トリプル・オート財団の理事であり、ロサンゼルス郡美術館のCEO兼館長のマイケル・ゴーバンは、声明文で次のようにコメントしている。
「この作品は、空間を構築し組織化しようとする人間の原初的な衝動を意識したものだが、そこには現代性、人間の時間と空間に対する経験の主観性に対する認識と考察、そして人間が築いてきた多くの文明の歴史が組み込まれている。25年以上にわたってマイケル・ハイザーと協力し、彼の『City』プロジェクトの実現を支援したことは、私自身の人生と仕事のなかでもっとも重要な経験のひとつだ」。
なお作品鑑賞は、天候に恵まれた場合のみ、事前予約のうえで最大6名までの日帰り短時間鑑賞となる。今年度の鑑賞予約はすでに終了しており、来年度の予約は23年1月から始まる。