元教え子の女性からセクシャルハラスメントで提訴され、現在係争中の林道郎氏が美術評論家連盟会長を辞任し、退会した。弁護士ドットコムが伝え、同連盟もこれを認めている。
林氏は、在学中から10年におよび性的関係にあった元教え子の女性から今年4月にセクシャルハラスメントで提訴されており、現在係争中。女性側は2200万円の損害賠償を求めている。
美術評論家として広く知られる林氏は、2020年から美術評論家連盟の会長を務めてきた。辞任は9月18日付けで、連盟の退会は9月20日付けだという。
今回の辞任と退会について、同連盟の常任委員会は以下の通りコメントを発表している。
林道郎氏は9月18日付けで美術評論家連盟の会長職を辞任し、9月20日付けで当連盟を退会いたしました。当連盟は報道されている以上の情報を持ち得ておりませんが、本件を大変遺憾に思うとともに、本件に限らず、あらゆるハラスメントの被害を訴えられた方の人権が守られることを望みます。
当連盟は、人間関係における力の不均衡が世界的に是正されている現況を鑑み、連盟および会員の活動の基盤となる美術評論家の倫理を改めて確認し、今後の方針について新たに検討を続けている最中でした。具体的には、ハラスメント防止のガイドラインの作成と、声明・共同意見の発表方法の見直しについて、それぞれ委員会を立ち上げて取り組んでいます。本件はまだ係争中ではありますが、元会長が不均衡な力関係を行使し得る立場にあった事実を重く受け止め、今後も美術の現場におけるあらゆるハラスメント事案に対して注視していく所存です。
今後、上記検討中の方針の画定に向けた準備を引き続き進めるとともに、日本の美術と社会に寄与する団体であるべく、より一層努力を続けてまいります。なお、現時点で会長職は空位の状況ではありますが、新会長選出のための準備に速やかに取りかかっていることを申し添えます。