現在、イタリアで開催中の第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展において、建築家・寺本健一らがキュレーターを務めたアラブ首長国連邦(UAE)館が国別参加部門の金獅子賞(最高賞)を受賞した。同部門における日本人の金獅子賞受賞は、2012年の日本館(建築家・伊東豊雄ら)以来となる。
寺本は1974年埼玉県生まれ。建築事務所waiwaiを共同設立し、ドバイと東京で活動。今年からは「Office of Teramoto」の代表として、日本に拠点を移している。
サラマ・ビント・ハムダン・アル・ナヒヤン財団が主催するUAE館のテーマは「Wetland(ウエットランド)」で、寺本とワイル・アル・アワールによる共同キュレーション。UAEの塩原に着想を得た、塩を素材とする代替セメントで展示を構成した。
寺本は今回の受賞について、「美術手帖」に対して次のように喜びを語った。「2012年からドバイを拠点に活動してきて、その地域の個性を大事にした建築デザインを心がけてきた。そのひとつの集大成として、自信を持って提出したのが今回のパビリオン。ローカルな興味から始まったものが、ナショナル・パビリオンというかたちで世界の舞台で表現でき、さらには世界的な評価をいただいたことは嬉しい。今後もローカルな状況を繊細な眼差しで見つめながら、同じように挑戦を続けたい」。
なお、UAE館の展示は同館公式サイトでもその様子を見ることができる。寺本は「これまでのヴェネチア・ビエンナーレとは違い、リモートでもコンテンツに入り込めるようになっている。コロナ禍の今回だからこそ、(オンライン上の)情報量が一番多いはず。楽しんでもらいたい」と話す。