タリバンの制圧により、現在は混乱状況が続いているアフガニスタン。こうした状況のなか、ユネスコがアフガニスタンの文化遺産の保護を呼びかけている。
ユネスコは声明文で、現地の状況を注視しており、アフガニスタンの文化遺産を保護するためにあらゆる努力を払うことを約束するとしている。オードレ・アズレ事務局長は、「国際法を完全に尊重して、アフガニスタンの文化遺産をその多様性のなかで保護し、文化遺産を損傷や略奪から保護するために必要なあらゆる予防措置を講じることを求める」と訴えている。
アフガニスタンには、2001年にタリバンによって破壊された仏像の遺跡が位置する世界遺産の「バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群」をはじめ、多様な遺産が数多く存在している。
首都・カブールにあるカブール国立博物館は先週出した声明文で、「今日のカブール市内はかつてないほどの混乱に見舞われ、これを機に市内の各所で略奪者や密輸業者が個人や公共の財産を略奪した」とし、「このような混乱状態が続くと、博物館の職員の収蔵品や収蔵品の安全性に大きな懸念が生じる」と危機感を訴えている。
ユネスコは、これらの遺跡や博物館は「アフガニスタンの歴史とアイデンティティに不可欠なものであると同時に、人類全体にとっても重要なもの」であり、その保護・保全は「アフガニスタンの将来にとって極めて重要だ」としながら、同国の文化遺産の専門家や芸術家の継続的な活動のための安全な環境の必要性も強調している。