1988年にパリでファッションブランド「マルタン・マルジェラ」を興し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラ。2009年に発表された10年春夏コレクションの際にはすでに引退していたとされており、キャリアを通して公の場に姿を現さず取材や撮影を断り続け、そのすべてが謎に包まれていた。
そのマルジェラ本人が初めて制作に協力したドキュメンタリー映画が『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』(原題:『Martin Margiela: In His Own Words』)だ。同作が9月17日より、渋谷ホワイトシネクイントほか全国で順次全国公開される。
本作の監督を務めたライナー・ホルツェマーは、これまで、写真家集団「マグナム・フォト」を追った『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』や、ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンの制作に迫った『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』といったドキュメンタリーを手がけてきた。
マルジェラは「顔は写さない」という条件のもと、同作で謎に包まれてきた自身について語る。初めて公表するドローイングや膨大なメモ、7歳でつくったという人形の服などのプライベートな記録のほか、ドレスメーカーだった祖母からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、足袋ブーツの誕生の、世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢、そして突然の引退などの全容を、カメラの前でマルジェラ自身が明かす。
いまなお評価され続けるマルタン・マルジェラ。その創造性や仕事術など、伝説的デザイナーとしての全貌が本作で初めて明かされる。