アーティストのドナルド・ジャッドが1980年代にアメリカ・テキサス州のマーファに設立した現代美術館「チナティ・ファンデーション」が、Twitterの共同創設者兼CEOのジャック・ドーシーによる新型コロナウイルス救済基金「#StartSmall」から125万ドルの助成金を受け、いくつかの大規模な修復プロジェクトをスタートさせた。
今回のプロジェクトの中心となるのは、マーファのダウンタウンにあるジョン・チェンバレン・ビルディングの大規模な修復作業。1940年代に建てられた倉庫群の建物をもとにジャッドがリノベーションに携わったこの建物は、83年にジョン・チェンバレンによる彫刻の常設展示場として一般公開。現在チェンバレンによる22点の金属製の彫刻作品などが展示されている同ビルの修復作業は、22年春に完了予定となっている。
ジャッドによる同ビルの増築部分のなかには、北西の角に外部の中庭を囲うアドベの壁がある。このアドベ壁の修復では、同館はテキサス州西部の地域に住む女性を募り、アドベの壁の修復に関する職業訓練を支援する。また修復に携わる人々は、ジャッドが使用していた素材に特有の保存プロセスや技術を学ぶ機会があるという。
そのほか、今回の助成金は美術館の敷地内にある草原の維持管理や、非営利団体の有給インターンシップ・プログラムにも充てられる。前者では、地域の若い女性たちに草原の保護、放牧場の生態、土地の管理についてトレーニングを行い、後者では15ドルの時給や住居などの福利厚生を提供しながら、有色人種の若い女性を中心に活動を展開する。
同館は声明文で、ジャック・ドーシーと#StartSmallに対して感謝を述べつつ、「この非常に寛大な助成金によって、チナティは重要な修復プロジェクトに、とくに地元マーファや広範なアートコミュニティの若い女性たちとのパートナーシップや機会を構築する方法で取り組むことができる」とコメントしている。