3月15日に北京の私設美術館・木木芸術社区(M WOODS HUTONG)で開幕予定の坂本龍一の大規模個展「坂本龍一:观音听时|Ryuichi Sakamoto: seeing sound, hearing time」が、展覧会の設営作業中に美術館建物内で人身事故が発生したため、延期となったことがわかった。
同館が14日に発表した声明文によると、建設業者の作業員は9日の午後、同館最上階にある機器室の安全柵の外から転落し、近隣の医療機関に搬送され応急処置を受けたにもかかわらず、重傷で亡くなってしまったという。
同館は、「この数日間、M WOODSのスタッフ全員が、被害者の方を失ったことに深い悲しみを覚えており、被害者のご遺族が耐えてきた途方もない悲しみを想像することはさらに困難です」としつつ、今回の事故について次のように謝罪の言葉を綴っている。
「今回の事故を教訓に、当館の安全管理上の問題を深く反省し、チームの安全管理体制を再構築し、今後の協力関係においてもパートナーチームの工事の安全性を厳しく監督していきます。最後になりましたが、改めて今回の事件を憂い、ご遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、今回の事件が世間に与えた影響について深くお詫び申し上げます。また、その後のご遺族への支援にも全力を尽くし、引き続きアフターフォローも適切に対応していきます」。
今回の事故を受け、坂本は声明文で「病床の私も大きなショック受けています」としながら、「木木美術館が総力をあげ、不眠不休でこの事故に誠意をもって対応してくれている姿(中略)また、数十人の中日混合の設営作業チームが、まさにひとつのチームとして、昼夜を問わず展示実現のために精一杯働いてくれている姿に感動を覚えます」と述べている。
— ryuichi sakamoto (@ryuichisakamoto) March 14, 2021
木木美術館(M WOODS)は、若手コレクター夫婦である林瀚(リン・ハン)と雷宛瑩a.k.a.晚晚(ワンワン)によって2014年に設立された私設美術館。今回の事故が起きたのが、19年に開館した分館の木木芸術社区。建築家・青山周平と藤井洋子が設立したB.L.U.E.建築設計事務所が当時の改修設計を担当した。
なお本展の新会期は、後日発表予定となっている。