新型コロナウイルスによる渡航制限の影響で「アート・バーゼル」が、2021年3月に開催を予定していた「アート・バーゼル香港2021」(ABHK)を5月に延期することを発表した。
主催者によると、この決定は、関係者の健康と安全を守りながら、より多くのコレクター、キュレーター、アート関係者が来場できることを目的に、ギャラリスト、コレクター、パートナー、外部の専門家と綿密に協議を重ねた結果だという。新しい会期は2021年5月21日〜23日で、19日と20日はVIPプレビューとなる。
アート・バーゼルのディレクター・アジアであるアデリン・ウーイは声明文で次のようにコメントしている。「現在のパンデミックの進展と海外渡航規制への影響を考えると、フェアを5月に変更することは正しい判断だと考えています。早期に決定することで、2021年のプログラムを事前に計画するギャラリーをサポートすることを目的としています。来年5月に開催されるフェアを心待ちにしており、ギャラリスト、コレクター、アート愛好家の皆様のご来場をお待ちしています」。
来年のフェアの詳細はまだ明らかにされていないが、ABHKは香港のアートフェア「ファイン・アート・アジア」と連携し、新しいアートフェア「香港スポットライト」を11月27日〜30日に香港コンベンション&エキシビションセンターで開催。ガゴシアン、ペース、ペロタン、NANZUKA、アクセル・フェルフォールドなど、これまでABHKに出展したことのある、香港に拠点を持つ22のギャラリーが一堂に会する。
また12月4日〜6日には、新型コロナウイルスの影響で開催中止となった「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」は、オンライン・ビューイング・ルームの形式で開催される。
ABHKの延期により、来年5月のアートフェアカレンダーは非常に混雑した状態となる。「フリーズ・ニューヨーク」は先月、21年のフェア会場をニューヨークのアートセンター「ザ・シェッド」に移転し、5月5日〜9日に開催することを発表。いっぽう、ニューヨークのもうひとつの国際的なアートフェア「TEFAFニューヨーク・スプリング」は、21年5月7日〜10日の開催を予定している。
なお、18年1月に台北に新たに設立されたアートフェア「台北當代(タイペイダンダイ)」は今年9月、21年のフェアを5月21日〜23日に延期することを発表。しかしABHKの延期発表を受け、同フェアは来年の会期を7月2日〜4日に変更することを決定した。