ニューヨークに本社を置くメガギャラリーであるデイヴィッド・ツヴィルナーが、黒人ギャラリストのエボニー・ヘインズをマンハッタンに新たに設立するスペースのディレクターに任命し、スタッフも全員黒人を雇用することを発表した。
ニューヨーク・タイムズ紙によれば、今年1月、当時ニューヨークのマートス・ギャラリーでディレクターを務めていたヘインズは、デイヴィッド・ツヴィルナーにディレクターとしてギャラリーに参加する意思を表明。そして、全員黒人のスタッフによる美術館の構想について話したとき、ツヴィルナーは新しいギャラリーを設立し、その運営をヘインズに委託することを決定したという。
ツヴィルナーはヘインズに対し、「彼女はただの美術商ではなく、思想家、活動家として会話のなかで自分自身を示してくれた」と評価しつつ、アート界における有色人種の雇用差別について次のようにコメントしている。「アーティストの側では進歩があったと言うことができるが、雇用の側ではアート界は恥ずべき行為をしている。何かが起こらなければならない」。
新しいギャラリーは2021年の春にオープン予定。年に4回程度の展覧会を開催し、ニキータ・ゲイルやカンディス・ウィリアムズ、キャメロン・ロウランドなどの黒人アーティストをはじめ、様々なバックグラウンドを持つアーティストを展示。それぞれの展覧会に伴い、書籍の出版も予定されており、同ギャラリーでは黒人の学生に向けて有給インターンシッププログラムも実施される予定だ。
10月1日より就任するヘインズは、今回の任命についてこう語っている。「とくに商業ギャラリーでは、黒人スタッフや有色人種の人たちが経験を積むのに十分な場所がない。私は機会に満ちた空間を提供し、彼らを後押ししていきたい」。