都知事選、注目すべき文化政策は? 美術館の25歳以下無料や「都立自然史博物館」の新設も

7月5日に投開票される都知事選では、どのような文化政策が掲げられているのか。主要なものをチェックする。

東京都庁 (C)photoAC

 7月5日に投開票される2020年東京都知事選挙。コロナ禍においては芸術文化分野も大きな影響を受けており、その影響が長期化する予想もされるなか、適切な文化政策は都知事に求められる重要な要素のひとつだ。

 22人という多数が立候補した今回、文化政策としてはどのようなものが挙がっているのか、主要なものをピックアップする。なおそれぞれの候補が掲げる政策詳細については、各候補者の公式サイトなどを参照してほしい。

現職・小池都知事は「デジタル化」推進

 まず現職無所属の小池百合子候補は、デジタル化の一環として、芸術文化分野などの「デジタル空間・VR等を活用した興行、無観客興行の収益化支援(ネット配信・グッズのネット販売等)」を掲げる。小池都知事は、コロナ対策でもアーティストに動画制作でひとり10万円を支給する芸術文化活動支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」を実施しており、今回の政策はこれともつながるものだと言えるだろう。

 このほか、「まちづくり」関連では「芸術・文化・スポーツによる魅力あふれるまちづくり」「デジタル空間・VR等を活用したスポーツ・音楽・アート支援」などを掲げるが、具体性にはやや乏しい。

「都立自然史博物館」の新設掲げる山本太郎候補

 「れいわ新選組」代表・山本太郎候補は、「都立自然史博物館」の新設を掲げる。山本候補は、奥多摩の雲取山や小笠原諸島を例に、「一つの自治体でここまでのバラエティ豊かな気候区分を有しているのは東京都だけ」と主張。しかしながら、都立の自然史博物館が存在していないことを指摘しており、今回の政策では「都民がその類を見ない自然環境やその生い立ちを共有する施設を建設します」としている。

若年層の都立施設利用無料に。宇都宮健児候補

 2016年の都知事選の際には出馬を断念した宇都宮健児候補。今回の都知事選では、重要政策01「働きやすく、くらしやすいまち」のなかにおいて、都立施設(美術館や博物館、動物園、公園など)の入場料を25歳までの都民は無料にすることを掲げた。メディア共催展などが多い美術館のシステムのなかで、これがどこまで実現可能かは不透明だが、若年層の文化へのアクセシビリティを高めるという点においては、評価できる姿勢だろう。

 また重要政策05「東京からアジアに平和を発信」では、「東京都平和祈念館(仮称)」の建設を掲げた。「都平和祈念館建設のために都が収集した資料はなるべくすみやかに整理の上、市民のとり組みに貸し出します」としている。

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