2020.6.9

東京藝術大学が同大出身の若手芸術家を支援する基金を開設。新型コロナウイルスでの活動自粛を受けて

新型コロナウイルス感染症の拡大による活動自粛により、多くの芸術家が経済的な影響を受けている。東京藝術大学は同大出身の若手芸術家を対象にその活動を支援する「東京藝術大学 若手芸術家支援基金」を設置。自己財源や一般企業からの協賛金に加え、クラウドファンディングでも資金を募る。

「東京藝術大学 若手芸術家支援基金」の記者発表より、左から国谷裕子、澤和樹、米良はるか、箭内道彦
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 東京藝術大学は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、展覧会や音楽会の中止などで影響を受けている同大出身、または在学中の若手芸術家を支援する「東京藝術大学 若手芸術家支援基金」を設置する。

 同基金は東京藝術大学の自己財源に加え、一般企業からの協賛金、東京藝術大学基金への寄付、そしてクラウドファンディングで集めた資金を原資とするもの。

 同基金について東京藝術大学・学長の澤和樹は、政府による500億円規模の芸術文化への支援について評価をしたうえで、多くの行政による芸術支援が、すでに収入・活動がある芸術家を対象としていることを指摘。活動実績が乏しい若手を支援し、活躍の場を設ける必要性が、今回の基金創設の機運が高まったと述べた。

 同基金の支援対象となるのは、同学の在学生・卒業生・修了生のうち、おもに40歳までが対象。澤学長は、東京芸術大学の卒業生にとって、卒業後の約15年は海外留学等の自己研鑽を積む時期だが、キャリアが確立されない収入が安定しづらく、もっとも支援が必要な時期とコメントした。

若手芸術家支援基金の応援ロゴマーク

 具体的な支援施策としては、とくにオンラインでの取り組みに力を入れる。オンライン上に美術館や奏楽堂を設置し、若手芸術家を対象とした公募形式による展覧会や演奏会を実施し、賞と賞金を用意。また、ネットワーク上でのリアルタイムの演奏を実現するアプリケーション開発や、若手芸術家支援プラットフォームの構築なども行う。

 オフラインでは、新型コロナウイルス対策を前提とした鑑賞形式のあり方を模索しつつ、若手芸術家の演奏会・展覧会を実施する。

 さらに在学生を対象とした修学支援も実施。給付金のほか、オンライン授業のための通信機器の無償貸出や相談窓口などの体制を拡充。さらに、同大独自の支援プロジェクト「I LOVE YOU プロジェクト」の第2弾として、同大卒業生にプロジェクトの出品料・出演料として1人あたり10万円を350人を目安に助成する。

 クラウドファンディングサービス「READYFOR」内で実施される「東京藝術大学 若手芸術家支援基金」のクラウドファンディングの目標金額は5000万円。6月9日~7月31日23時までを募集期間としている。30万円以上の支援者に対しては、各イベントへの招待や、称号の授与などが行われる。