新型コロナウイルスによる経済危機における文化芸術への支援で、世界的にも注目を集めるドイツ。ここで新たな支援策が明らかにされた。
ドイツのメルケル連立政権は6月3日、新型コロナからの経済回復のため、1300億ユーロ(約16兆円)規模の景気刺激策に合意。このうち、10億ユーロ(1200億円)以上が、文化芸術支援に充てられる。
パンデミックで制約された文化施設維持への投資と連邦レベルで重要な文化環境の強化:300億円
まず、新型コロナで休館を余儀なくされた文化施設再開のコンディションを整えるための基礎=基金(Baustein)として300億円を充当。文化センター、ライブハウス、劇場、映画館、ミュージアム、文学館などを問わず、これらすべての施設は、衛生計画とソーシャルディスタンス確保を実施しなければならない。この予算は、そしたコロナ対策のためのオンラインチケットシステムや換気システムのリニューアルに使用される。
文化インフラと緊急支援の維持及び強化:540億円
「ニュースタート・カルチャー」の中心となる対象は、民間資金で運営される数多くの中小規模の文化施設や文化プロジェクトだ。540億円は、こうした中小規模施設が活動再開するための資金として充てられる。
540億円は分野ごとに予算配分されており、例えば、ライブハウスやフェスティバル、主催者、プロモーターには180億円を、演劇やダンスには同額を、映画分野には144億円を、ギャラリーや社会文化センター、書籍や出版などの他の分野には36億円が配分されるという。この予算において、ドイツ政府はフリーランスや個人自営業者に新たな仕事を委託することを求めている。
デジタルコンテンツなどにも多額の予算
このほか、「ミュージアム4.0」など、文化領域において教育普及やネットワーク化に寄与する新たなフォーマットやプロジェクトを含むデジタル関連に180億円が配分されるほか、連邦によって定期助成されている文化施設やブロジェクトでパンデミックによって生じた超過需要への補填に120億円などを充てる。
こうした巨額の文化支援予算について、連邦文化メディア大臣モニカ・グリュッタースは、「1200億円の追加によって、私たちはドイツの文化的生活の新しいスタートを支援し、未来へ向けてポイントを切り替える」と語っている。