生態や環境についての疑問を投げかける作品を手がけてきた詩人でアーティストのロイス・ワインバーガーが4月23日、心臓発作により逝去した。享年72。
ロイス・ワインバーガーは1947年オーストリア生まれ。チロル地方の山間にある村の農家に生まれ、両親の仕事を手伝いながら鉄骨工の職に就いた後、77年からアーティストとしての活動を開始。ウィーンの自庭で育てた荒地植物を各所に植えるガーデン・プロジェクトを皮切りに、ドクメンタX(1997)、第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)などの国際展に参加するほか、個展も多数開催してきた。
日本では99年に開催の「エンプティ・ガーデン」展(ワタリウム美術館)で初めて紹介され、近年では「Reborn-Art Fesitival 2019」に参加。同年、ワタリウム美術館で個展「見える自然/見えない自然」を行ったことは記憶に新しい。
ワインバーガーは、「見えない自然」をテーマに、都市において人間がつくり上げた決まりごとを解放し、生態や環境についての疑問を投げかける作品を手がけてきた。
訃報に際し、ワタリウム美術館は「『目に見える自然(植物)と見えない自然のエネルギーを区別し識ることが重要』という彼のメッセージからコロナという『見えない自然の力』と向き合いどう生きるのかを考える時が来たことを感じます。心からの感謝を送りご冥福を祈りたい」とメッセージを出している。