医師・医療福祉・まちづくり関係者が、クラウドファンディングサイト「READYFOR」にて、新型コロナによる被害を受けている芸術家を支援する「 #SaveArts プロジェクト」を立ち上げた。
同プロジェクトの目標金額は200万円で、5月29日の11時まで支援を募る。今回は休業自粛の影響が強く出ている「舞台芸術」のなかでも、とくに演劇・歌劇・音楽劇を中心に支援。集まった支援金は応援メッセージとともに、演劇部門は平田オリザ、歌劇・音楽劇部門は桜田ゆみを通じ、各団体に届ける流れとなっている。
平田オリザはプロジェクトについて以下のようにコメントしている。「今回の新型コロナウイルス禍で、パフォーミングアーツは、もっとも強く打撃を受けた業界のひとつと言っていいかと思います。また、自粛率も9割に及び、飲食店など他の業界に比べても、もっとも対応の早かった業界でもあります。特に演劇界は中小零細の団体が多く、融資の対象にもならない方が多くいらっしゃるかと思います。この支援は薄く広くを目的としていますので、どこまでの手助けになるかわかりませんが、その分緊急性をモットーに機敏に動ければと考えています」。
プロジェクトの代表である医師の年森慎一も以下のようにコメント。「病院だけでは心の豊かさや社会とのつながりを満たすには限界があり、非医療リソース(医療とは関係のない民間の活動や集まり)の力を合わせる必要があります」「暗闇の中にあっても光を生み出すことのできる芸術を、医療にはできない心やつながりを救ってくれる芸術を、 ほんの心ばかりですが恩返しと、社会の健康にとって重要な分野を支援することができればと思っています」。
また、同プロジェクトは具体的支援以外のもうひとつの目的として「間接的・社会的支援としての #SaveArts 」を挙げている。「インターネットの発達したこの時代だからこそできる、ボーダレスな人と人とのつながりで支援をできるのではないかと感じています。皆様の日々の活動やメッセージ、投稿、作品など、何かしらの形で『#SaveArts』、そして様々な『#Save〇〇』が世の中に広がり、コロナ禍を乗り切る力になればと願っています」。
「 #SaveArts プロジェクト」の立ち上げの背景には、政府が文化・芸術・スポーツを「大変重要である」「一度失うと復活は難しい」 と認めつつも、「損失を補填する形で税金で補償するのはなかなか難しい」と公表したこともある。政府からの文化についての具体的支援がなされないなか、多くの団体がクラウドファンディングをはじめとした自主的な支援募集を始めている。