アメリカにおける大統領直轄の独立連邦機関であるNEA(the National Endowment for the Arts、米国芸術基金)は、新型コロナウイルスで危機に瀕する文化機関に対し、7500万ドル(約80億円)の支援を決定した。
今回の支援策について、NEAのチェアマンであるメアリー・アン・カーターは「NEAは可能な限り多くの雇用を維持し、アメリカ経済とコミュニティの創造的な生活に価値を与える何千もの組織の扉を開き続けるための支援を提供する」とコメント。「アメリカは、経済、コミュニティ、生活の一部として芸術とその仕事を必要としており、芸術基金はその役割を果たすことを約束する」と力強いメッセージを出している。
7500万ドルは非営利の芸術団体を支援することを目的としており、助成された資金は一般的な運営費に充てることが可能。これは、プロジェクトベースで資金を助成するというNEAの通常要件を超えており、アメリカのアートコミュニティが直面する状況への危機感を示している。
なおNEAによると、2017年の芸術・文化分野の国内総生産は8778億ドルで、同年同分野の雇用は500万人を超えているという。また、NEAは過去にもリーマン・ショック後の09年にアメリカ復興・再投資法の一環として、芸術分野の雇用維持のために5000万ドル(約53億円)を計上した過去がある。
(4月9日追記)
NEAは、80億円のうちその40パーセントを4月30日までに州や地域の芸術機関に直接助成することを発表。また、残り60パーセントは全米の非営利芸術団体への直接助成金に指定されており、詳細は6月30日までに発表される。