京都国立近代美術館オープンデー「ひらきまつり!」の一環として、2月9日にアーティスト・百瀬文の作品上映とシンポジウムからなるイベント「萌えいずる声」が開催される。
上映されるのは、ろう者(手話を主なコミュニケーション方法とする人)と聴者が声によって語り合う映像作品《聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと》(2013)。
その後のシンポジウムには百瀬のほか、西洋美術史を専門とする岡田温司、幕末から明治・大正期にかけての盲唖学校の建築空間や社会・文化を通じて、盲人とろう唖者について考察している木下知威、音声論をテーマに多様な活動を展開する黒嵜想の3名が登壇。司会は、京都国立近代美術館の本橋仁が務める。
会話をはじめ、映画やアニメーション、歌謡など、人間の表現・意思と深い関係を築いてきた「声」。いっぽう記録技術のさらなる発達によって、他の声がかき消えるほどの大声が響き渡る場や、強制的に声を発せられる場も身近に感じられるようになり、そこには声をめぐる静かな絶望も横たわっている。
本イベントでは、このように近年ますます複層的な姿を現す声と、身体・意思・空間のありようを新たな角度で検証する。なお、当日は手話通訳・文字通訳も行われる。