伝説の美術学校「ブラック・マウンテン・カレッジ」の知られざる資料3000点がデジタルで公開

アメリカのノース・カロライナ州にわずか24年間しか存在しなかった伝説的な美術学校「ブラック・マウンテン・カレッジ」。その知られざる資料をデジタル化するプロジェクトを同州にあるアッシュビル美術館が発表した。デジタル化された3000点以上の資料を一般公開することで、同校が美術史に残した遺産を探求する。

マルセル・ブロイヤーとヴァルター・グロピウスが設計したブラック・マウンテン・カレッジのキャンパス・ビルの図面(1938) 出典=ウィキメディア・コモンズ 

 アメリカのノース・カロライナ州のアッシュビルで、1933年〜57年のわずか24年しか存在しなかった実験的な美術学校「ブラック・マウンテン・カレッジ(以下、BMC)」。その知られざるコレクションが、デジタル化され公開される。

 BMCは、ジョン・アンドリュー・ライスらが1933年にアッシュビルに創立し、実験的な芸術を基礎にしたリベラルアーツ教育を行った学校。同校の講師には、ウィレム・デ・クーニング、ジョン・ケージ、ヨゼフ・アルバースなど、生徒には、ロバート・ラウシェンバーグ、サイ・トゥオンブリー、ルース・アサワなど、アメリカの美術史に大きな影響を与えたアーティストがいた。

 今回のプロジェクトは、図書館情報資源振興財団(CLIR)から助成を受けた、「隠された特別コレクションとアーカイブをデジタル化する賞(Digitizing Hidden Special Collections and Archives Awards)」プログラムのひとつ。24ヶ月にわたるプロジェクトでは、これまで発表されたことがないBMCのアーカイブや文献、アート作品、家具など、3000点以上の資料をデジタル化して一般公開することで、同校から影響を受けたアーティストやその作品、アイデアなどを通して、それが美術史に残した遺産を探求する。

 同プロジェクトを手がけるアッシュビル美術館の館長パメラ・マイヤーズは、「私たちのコレクションをできるだけ利用しやすいものにすることは、我々にとって重要であり、このプロジェクトはその中心的な役割を果たす」とコメントしている。

 なおプロジェクトが完了した後、同館はウェブシンポジウムを開催。世界各地の学者による新たにデジタル化されたBMCの資料に関するプレゼンテーションを行い、学術分野や国境を超えたコラボレーションを実施する予定だ。

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