株式会社電通が、アートの分野へと進出する。同社は、ビジネスにおけるアートの活用を支援するコンサルティング事業「アート・イン・ビジネス」の開始を発表。社内外横断による専門的なプロジェクトチーム「美術回路」を立ち上げ、NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウや東京理科大学経営学部大西研究室などと連携しながら、「経験に基づいた効果的な実践法の構築」を支援するという。
電通はアートをビジネスシーンに取り入れていくための実践プログラムとして「アート・イン・ビジネス プログラム」を提示。この内容を盛り込んだ書籍『アート・イン・ビジネス─ビジネスに効くアートの力─』(有斐閣)を出版した。
同書では、アーティストが作品をつくる源泉として4つのアートパワー「問題提起力」「想像力」「実践力」「共創力」を挙げており、これをビジネスパーソンが内在化することで「ブランディング」「イノベーション」「組織活性化」「ビジョン構想」といった効果が期待できるとしている。
またアート・イン・ビジネスの実施企業の具体的な事例として、寺田倉庫やヤマハ、マネックス証券、アクセンチュア、スマイルズなどの事例を紹介。
企業とアートの関係を、1920年代から現在まで、5つの潮流「パトロナージュ型経営」「経営と文化活動支援」「現代アートによるブランディング」「次世代アートとイノベーション」「『問い』としてのアート・シンキング」に分類。これらが有機的に融合し「ビジネスのなかにアートがまるで空気のように存在する時代」として、「アート・イン・ビジネス」の時代が目前に訪れていると提示する。
なお同社では、今後の展開として、セミナー、ワークショップ、シンポジウムの実施や、SNSを活用した各種情報発信などを通じて、「アート・イン・ビジネス」の実践活動を草の根的に広げていきたいとしている。