日本を代表する建築家の村野藤吾による設計で1958年に竣工し、2009年に閉館した大阪・なんばの新歌舞伎座。その跡地に、隈研吾が設計を手がける「ホテルロイヤルクラシック大阪」が12月1日、オープンする。
ホテルの外観は、新歌舞伎座の特徴的な唐破風(からはふ)が連なる意匠を引き継ぎ、低層部に復元。また館内は格子模様や直線の美しさを活かした、木のぬくもりと光を感じられる空間となっている。
注目したいのが「ミュージアムホテル」という本ホテルのコンセプトだ。アートプロデューサーとして監修を務めるのは、東京藝術大学特任教授の伊東順二。フロントやエレベーターホール、客室廊下といったパブリックスペースや客室に、29作家による183点の美術作品を展示する。
核となるのは、吉原治良を筆頭として関西を中心に結成された「具体美術協会」の作品。吉原をはじめ白髪一雄、田中敦子、上前智祐、嶋本昭三、元永定正らの作品を展示する。加えて、草間彌生、中西夏之、舟越桂、他にも東京藝術大学在学中の若手アーティストや、デイル・チフーリ、アレナ・マチェイカ、ジャン=ミシェル・オトニエルらガラス作家の作品も並ぶ。
また、プリザーブドフラワーなどを用いたフラワーデザインで知られるニコライ・バーグマンによる作品では、季節ごとに花の入れ替えを実施。また、写真家の新津保建秀はホテルをテーマとした作品を制作した。
建築と調和するような美術作品を楽しむことができる「ホテルロイヤルクラシック大阪」。これまでにない「ミュージアムホテル」に期待が高まる。