2020年夏、日本で展覧会が開催されることも決定した覆面アーティスト・バンクシー。今春には東京で「バンクシー作品らしきネズミの絵」が公開、パリではストリートアートの盗難など、世界各地で話題を集め続けている。
そんなバンクシーが10月17日、期間限定のオンラインショップ「Gross Domestic Product™」を正式オープンした。「国民総生産」を意味するこのウェブサイトは、ロンドンに突如出現した同名のポップアップショップ(10月1日から2週間限定オープン)に続いて開店したもの。
ポップアップショップはショーウィンドウ越しに商品を眺めるだけで「入店不可」であったが、オンラインショップでは実際に作品を購入できる。
オンラインショップに並ぶ作品は工場でつくられた大量生産品ではなく、すべてバンクシーのスタジオで手作業で制作されたエディション作品。現時点では、ネズミ柄のマグカップ10ポンド(約1400円)から、瓦礫のクラッチバッグ850ポンド(約12万円)まで、億単位の価格で作品が売買されるバンクシー作品としてはきわめて低価格なのが特徴。これは、富裕層以外のアートファンにも作品を届けたいというバンクシーの思いによるもので、サイト冒頭の注意書きには「お金持ちのアートコレクターは登録をご遠慮ください」と記されている。
購入は先着順ではなく、10月28日(イギリス時間)までに購入希望商品1点を選び、情報を登録、質問に回答し、抽選で作品を購入できる仕組みとなっている。その質問とは、「Why does art matter?(芸術は重要ですか?)」というもの。
また、サイト上の「Legal」のページでは、サイトの画像はアーティストが所有しており、第三者に譲渡することはできないという定型文とともに、「画像コピー、借用、クレジットなしで娯楽、活動、教育目的で利用したりすることは奨励しています」として、個人的な娯楽や、良い目的のための非営利活動のためにバンクシーの画像を用いることを厭わないと明記。
しかし、「複製品の販売、独自の商品ラインをつくり、“公式”にバンクシーの商品を不正に偽装することは違法であり、法的措置につながる可能性がある」とし、その罰金は慈善団体に寄付すると記している。
サイト全体にバンクシーのステートメントが散りばめられるこのオンラインショップ。18歳以上であれば誰でも登録可能なため、購入にチャレンジしてみてはいかがだろうか。