「表現の不自由展・その後」、展示再開の方向性定まる。検証委員会が中間報告

あいちトリエンナーレのあり方検証委員会は9月25日、第3回会合を開き、中間報告として「表現の不自由展・その後」を再開すべきだとする方向性を示した。

 

「表現の不自由展・その後」の展示室の扉

 あいちトリエンナーレのあり方検証委員会は9月25日に第3回会合を行い、そのなかで委員会としての中間報告案を発表。「表現の不自由展・その後」について、「条件が整い次第、速やかに再開すべきである」との方向性が示された。

 実際の展示再開に向けては、「脅迫や電凸(電話による攻撃)等のリスク回避策を十分に講じること」「展示方法や解説プログラムの改善・追加」「写真撮影とSNSによる拡散を防ぐルールを徹底する」などの条件を提示。

 具体的な展示方法の改善については、例えば大浦信行の映像作品《遠近を抱えてPartⅡ》については「今の場所では作家の真意が理解されにくい」としたうえで、別途会場での上映や、作家自身に作品への思いも語ってもらう機会をつくることなどを提案。また《平和の少女像》は背景の説明をしたうえで、ガイドツアー方式の鑑賞を取り入れることなども提案された。

 この再開条件について、金井直委員は「鑑賞に必要な情報をさらに十分に提供する仕組みがないと展示は成り立たない」とし、「鑑賞者の意見には幅があり、多様な意見をいかに掬い取るかが重要」だと指摘。また岩渕潤子委員も「鑑賞者の受け止め方は広く受け入れるべき」だとし、対話的なやりとりを展覧会に組み込んでいくことが重要だと提言した。

 加えて、海外作家については「一部の作家はこれまでの海外事例に照らし、今回の中止判断がテロ対策や安全管理を表面上の理由とする実質的検閲と認識」しているとの見解が示されたうえで、「作家からの意見聴取とその分析、的確なコミュニケーション体制が必須」との考えが示された。

 また次回以降のあいちトリエンナーレについては、現在の体制はもはや機能しないとし、新体制の構築と継続開催の必要性を説いた。

 この中間報告を受け、大村秀章愛知県知事は「私としても条件を整えたうえで再開を目指したいと考えている」と展示再開への意欲を示している。

 なお中間報告の完全版は、10月半ば過ぎをめどに作成予定。検証委員会は9月25日付けで終了したうえで「検討委員会」に名称を変更し、今後に向けた活動に入るとしている。

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