NEWS / HEADLINE - 2019.8.6

イム・ミヌクとパク・チャンキョン、「あいちトリエンナーレ2019」から作品引き上げへ。「検閲」に抗議

「あいちトリエンナーレ2019」に参加している韓国の作家、イム・ミヌクとパク・チャンキョンの2作家がそれぞれ自身の作品を引き上げることを公表した。

あいちトリエンナーレ2019でのイム・ミヌク《ニュースの終焉》(2019)

 「あいちトリエンナーレ2019」における「表現の不自由展・その後」が展示中止となった問題と関連し、トリエンナーレ参加作家である韓国のイム・ミヌクとパク・チャンキョンの2作家が、それぞれ自身の作品の出品辞退を正式に発表した。

 イム・ミヌクは1968年ソウル生まれ。本展では、マスメディアによって扇動される「分断の時代」に対し、2チャンネルの映像と韓服からなるインスタレーション《ニュースの終焉》(2019)で疑問を投げかけた。

 いっぽうパク・チャンキョンは1965年ソウル生まれ。南北朝鮮をめぐる問題を「少年兵」を通して見つめ、ライトボックス写真と映像の作品《チャイルド・ソルジャー》(2017-18)を出品していた。

 それぞれのステートメントは以下の通り。

検閲は、違法な行為です。にも関わらず、「表現の不自由展・その後」は撤去されてしまいました。
私はこの決定に抗議の意を込めて、私の作品が見られる機会を自ら剥奪します。

芸術作品、そして美術館は、見たいものだけを見て、聞きたいことだけを聞いて、言いたいことだけを言うために存在するのではありません。
自由民主主義社会における芸術空間は、複数の意味の次元における不一致を保護する役割を担うのです。

しかし、政治の論理で行われた検閲に、芸術空間が屈服しなければならないということが起きました。
これはとても恥ずべきことです。作家は、政治を理由に、表現の自由を脅かす暴力に屈服すべきではありません。
私の作品《ニュースの終焉》は、メディアが助長する感情の扇動の中には存在しない共同体を探る作品でした。
皮肉なことに、ご足労くださった貴重な観客の皆さまに作品をお見せできないことを本当に悲しく思います。

再び、安全の名目で不法なテロや圧力に屈することがないように願い、作品の展示を拒否します。
「表現の不自由展・その後」が再び開かれる日は、お互いが自由に、そして平和に共存する日であることと信じています。

イム・ミヌク

あいちトリエンナーレ2019の参加アーティストとして、私は愛知で日本国内外の観客の皆さまに《チャイルド・ソルジャー》をお見せすることができないことを非常に悲しく思っています。私は自作《チャイルド・ソルジャー》を本展から取り下げることを主張しました。私の出品辞退は「表現の不自由展・その後」に対する検閲に抗議するためです。
あいちトリエンナーレ実行委員会が「表現の不自由展・その後」の展示を中止したことに私たちは皆、深い失望を感じています。
アーティストとして、表現の自由を守ることは私の根本的な義務です。ある作品の好き嫌いに関わらず、作品はいかなる種類の権力、弾圧政治、もしくは脅迫によって検閲されてはなりません。私は表現の自由が完全に保証されたどこかの時と場所で、将来別の機会があることを願っています。

パク・チャンキョン

 なお、あいちトリエンナーレ実行委員会はこの出品辞退について、「参加するすべての作家を、難しい状況に追い込んでしまったことの責任を重く受け止めています」としており、今回の決定に至るまでに各作家と複数回の協議があったことを明らかにしている。