ニューヨークのメトロポリタン美術館で、同館の衣装研究所(コスチューム・インスティチュート)が毎年開催してきたファッションの展覧会。2019年は「Camp: Notes on Fashion」と題した展覧会が5月9日から9月8日にわたって開催される。
本展タイトルの「Camp(キャンプ)」とは、不自然で人工的、あるいは誇張されたものを好むあり方を意味する。スーザン・ソンタグが論考「キャンプについてのノート」などで提唱する、フランス語の「se camper(仰々しいファッションでポーズをとる、挑発的に振る舞う)」に由来する概念だ。
本展は、その「キャンプ」が持つ豊かな美学的思想の起源を探るとともに、その周縁的なスタイルが、いかにメインストリームの文化へと影響を与える感性へと発展したかを読み解く。
出品作品は、婦人服、紳士服、彫刻、絵画、17世紀から現在までの絵画など約200点。参加デザイナーは、ヴァージル・アブロー(Off-White)、クリストバル・バレンシアガ(Balenciaga)、トム・ブラウン(Thom Browne)、サラ・バートン(Alexander McQueen)、カール・ラガーフェルド(Chanel、Chloé、Fendi)、川久保玲(Comme des Garçons)、高橋盾(Undercover)、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)など約60組。
また、衣装研究所の資金集めと、展覧会のオープニングを祝すために1948年より年に1度行われ、「ファッション界のアカデミー賞」とも称される「METガラ」は5月6日に開催される。セレブリティたちは「Camp: Notes on Fashion」のテーマでどのようなファッションを見せるのか? 美を競うこのオープニングイベントにも期待が集まっている。