12月11日、デンマーク・コペンハーゲン生まれのアーティスト、オラファー・エリアソンが、地質学者のミニック・ロージングと協力してロンドン中心部の2ヶ所で解けてゆく氷の塊を展示した。この氷の塊は、エリアソンの屋外インスタレーション「アイス・ウォッチ」シリーズの最新作《アイス・ウォッチ・ロンドン》(2018)だ。
本作は、同シリーズの第3の作品であり、各作品は世界的な気候変動イベントにあわせてつくられてきた。2014年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書の公表を記念するため、コペンハーゲンの市庁舎の外で第1作が発表。2015年、第2作の《アイス・ウォッチ・パリ》はパリで行われたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)に伴って展示された。
本作の展示は、現在ポーランドのカトウィツェで開催中のCOP24国連気候会議にあわせ、気候変動に対する一般民衆の行動を促すことを目指す。10月8日にIPCCが発表した報告書によると、気候変動の最悪の影響を阻止するには、残り12年しかないと警告した。
今回展示される氷の塊は、氷が氷床から海に解けているグリーンランドのフィヨルドの海から取り出された。ロンドンでは、テート・モダンの外に24の氷の塊が環状に設置されるほか、6つの氷の塊がロンドンの中心部にあるブルームバーグ・ヨーロッパ本部の外に展示される。氷がじょじょに解けることに伴い、人々は、気候変動の具体的な影響を実感することができる。
エリアソンは、「このプロジェクトで人々に氷の塊を体験させ、実際に触れさせることを通し、私は人々を周囲の環境に深くつなげ、根本的な変化を促すことを願っています。私たちは、個々の行動をとることで、体系的な変化を推進できる力を持っていることを認識しなければなりません。気候の知識を行動に変えましょう」と述べる。
気象条件にもよるが、本作は12月21日まで展示される予定だ。残りの氷は、教育プログラムの一環として地元のコミュニティや文化機関に寄付される。
なお、本プロジェクトのウェブサイトでは、展示されている氷の塊のリアルタイムの重量などの情報が見えるので、こちらもぜひチェックしてほしい。