今年3月に設立された一般財団法人東美鑑定評価機構が、東京美術倶楽部鑑定委員会が40年以上にわたって行ってきた近代洋画、日本画、工芸、物故作家の鑑定事業を引き継ぎ、10月1日より事業を本格的にスタートさせた。
これまで作品鑑定を担ってきた東京美術倶楽部鑑定委員会は、美術品の真贋判定によって、贋作の制作・流通の抑止を図るとともに、美術品の価格の適正な査定を通じて売買・流通の健全化を図ることなどを目的に、鑑定事業を行ってきた。
これを引き継いだ東美鑑定評価機構は上記に加え、国や地方公共団体等の美術品の取引や活用に関する種々の要請にも対応していくという。
代表理事は全国美術商連合会会長で東京美術倶楽部代表取締役会長も務める浅木正勝。組織は学識経験者を含めた評議委員・理事で構成された有識者委員会の下に、専門委員会として鑑定委員会を設置。有識者委員会は、鑑定委員会よりの報告やそのプロセスの精査、鑑定査定現場の検閲聴取を通じて、鑑定の公正さを担保するとしている。
また、東京美術倶楽部鑑定委員会はこれまでも「東美鑑定証書」を発行してきたが、今後は新たに評価証書を発行。「美術品の損害保険の安定的付保や、 担保融資の実行性の道を開き、今後の美術品の価値創造の礎をつくる諸外国にも例を見ない、画期的なシステムとなる」としている。
なお、今後は専門委員会で、過去の東美鑑定委員会が積み重ねた膨大なデータ整理を通じての鑑定・評価・活用に資する事業、後進の人材育成とその教育事業なども展開するという。