文化庁の2019年度概算要求は、253億2200万円(23.5パーセント)増の1330億5100万円(前年度予算額は1077億2900万円)という大幅な増額要求となった。
内訳では、文化財の修復保存に係る「文化財継承のための基盤の整備」が48億1800万円増の293億9700万円。これに関連し、「国宝・重要文化財等の買上げ」が5億7100万円増の15億200万円となっており、文化財を国が買い上げることで流出を防ぐとともに修復を進め、国民の鑑賞機会を拡大することを目指す。
「国立アイヌ民族博物館の整備等」では52億9700万円という大幅な増額で67億6800万円の予算を要求。同館は2020年4月24日に北海道白老町での開館が予定されており、その整備を推進させるかたちとなる。19年度は建物等の施設整備を完成させるとともに、運営主体を中心にした展示資料の収集・保存・管理のほか、収蔵什器等の設置、研究機材等の調達、ミュージアムネットワーク事業等の開館準備を進めるという。
同じく2020年を見据えた事業として、「日本博2020(仮称)の企画・実施」にも注目したい。現在、パリでは日本の芸術を大規模に展開する「ジャポニスム2018」が開催されているが、「日本博」は同様の事業を日本国内で展開し、観光インバウンドの飛躍的・持続的拡充を図るもの。新規予算として25億万円が付けられている。
また、現代美術に関連するものとしては「産業と文化の連携による市場創出」として2億1200万円増の4億300万円を要求。内訳では、文化・芸術界と経済界との対話の場を新たに設定する「文化経済戦略推進事業」が新規事業として1億200万円を計上。日本のアート市場活性化とアートの持続的発展を可能とす るシステムの形成を目指すという「アート市場の活性化と現代アートの国際発信」が1億1000万円増の3億100万円を計上している。
なお、最終的な政府予算案は12月下旬に決定される予定。