「2018年注目の若手俳優」というトピックを語るうえで、ティモシー・シャラメを外すことはできないだろう。ティモシー・シャラメは1995年ニューヨーク生まれの22歳。2014年には映画『インターステラー』、15年に映画『クーパー家の晩餐会』などに出演し、17年公開の映画『君の名前で僕を呼んで』のエリオ役でその人気を決定的なものにした。
『君の名前で僕を呼んで』の主人公・エリオは、文学や歴史に詳しく、おもむろにピアノを弾き、作曲をし、読書をする。その貴族的な態度と佇まいはシャラメの風貌と相まって「まるで美しい絵画のよう」とも喩えられたが、そんなシャラメをまさに「名画」へと変えるアカウント「badly photoshopped Timmy(訳:ひどい加工をされたティミー)」が今年7月、TwitterとInstgagramに彗星の如く現れた。
7月初頭に開設されたこのアカウント(@chalametinart)はムンクの《叫び》から幕を開け、Photoshopで加工された名画+シャラメのコラージュ画像を連日のようにアップしている(7月19日時点で27投稿)。名画としてのシャラメの違和感のなさに感心するものもあれば、ときにその滑稽さが笑いを誘う、一部ポストを紹介していこう。
ルネ・マグリット 人の子 1964
言わずと知れたシュルレアリスムの巨匠、ルネ・マグリット。そのマグリットが自身のポートレイトと位置付けるこの作品も、ティモシーのポートレイトに変身する。顔は鮮明に見えずともティモシーだと判別できるのは、トレードマークのくせ毛ゆえか。
エドワード・ホッパー ナイト・ホークス 1942
ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジに実在したバーとそこに集う人々を描いた、エドワード・ホッパーの《ナイト・ホークス》。都市生活者の孤独もほのめかされる本作に、ティモシーが出現している。ニューヨーク生まれのティモシーが、こうして夜の街角で談笑する姿が見えてくるような1枚だ。
ギュスターヴ・クールベ 絶望(自画像) 1843-45
近代絵画史を切り拓いたギュスターヴ・クールベの自画像《絶望(自画像)》は、こちらに向かって目を見開くクールベの眼差しが印象的な作品。しかしひとたび「badly photoshopped timmy」の手にかかれば、絶望からはほど遠い、まるで物憂げな朝の1シーンに。
レンブラント・ファン・レイン テュルプ博士の解剖学講義 1632
時代は17世紀前半にさかのぼる。解剖官のニコラス・テュルプ博士が、犯罪者の遺体を使って、筋肉組織を医学の専門家に説明している場面が描かれたこの絵画。博士とすり替わったティモシーは、場に不似合いなはしゃいだ表情を見せている。
ミケランジェロ ダビデ像 1501-04
モチーフは絵画だけではない。「badly photoshopped timmy」は、ミケランジェロの代表作のひとつ《ダビデ像》の顔をティモシーの顔へと加工。角度も表情も、まるで違和感なく融合するこの1枚を「携帯の壁紙にした」「印刷して部屋に飾ることにした」と、コメントするファンも。
このように、美術をパロディにしたファンアートというスタイルで日々更新を続ける「badly photoshopped timmy」。次のターゲットとなる名作は? 気になる方は@chalametinartのフォローを。