手売り販売で話題を呼んだ批評誌『アーギュメンツ』、最新号刊行記念イベントを開催。レジデンスのツアーも実施

自主刊行の批評誌『アーギュメンツ』が、千葉県松戸市のアーティスト・イン・レジデンス、PARADISE AIRの主催によって刊行記念イベントを7月16日に行う。2017年、書き手の居場所をSNSで確認して直接会いに行くことで購入できるというユニークな流通形態で話題になった同誌。最新号刊行記念イベントとしては今回が関東初の機会となる。なお、同日は同誌即売会のほか、PARADISE AIRと松戸市内のツアーも行われる。

『アーギュメンツ #3』表紙

 出版プロジェクト『アーギュメンツ』は、渋家(シブハウス)の斎藤恵汰によって2015年に創刊した。17年に刊行された第2号からは黒嵜想が編集長を務め、執筆者に長谷川新、福尾匠、古川不可知、森下翔、米田翼といった若手キュレーターや批評家が参加した。

 SNSを中心に話題を集めた第2号だが、その理由は内容はもちろんのこと、それ以外にも徹底的に「手売り」にこだわったという流通形態にある。自主刊行誌である同誌を購入するには、『アーギュメンツ』関係者に直接会わなければ手に取れないという仕組みをとり、そのために購入希望者はSNSで関係者たちがいつどこにいるのかをチェックし、そこまで足を運ぶ必要がある。そのシステムが話題を呼び、1週間で約500冊を売り上げ、初版1000部がほぼ完売することとなった。

『アーギュメンツ #2』表紙

 そんな話題を呼んだ『アーギュメンツ』の第3号が、仲山ひふみとの共同編集にて6月に刊行。それに際し、第3号としては初となる関東での刊行記念トークイベントが、千葉県松戸市のアーティスト・イン・レジデンス、PARADISE AIRの主催により、同市観光案内所で開催される。 

 トークでは、ゲストとして第3号共同編集者の黒嵜と仲山が登壇、聞き手をPARADISE AIRのゲストキュレーターであり、第2号寄稿者でもある長谷川が務める。最新号の狙いと可能性のほか、ここにいたるまでの活動形態の発展や、手売りがつくり出す新たな親密圏の可能性についてなど、批評やアートの枠に囚われないトピックについても語られる予定だ。

 また、当日は13:00から18:00まで『アーギュメンツ』創刊号から第3号まですべてが販売される。また、同日13:30からは松戸周辺を含むPARADISE AIRツアーも行われ、レジデンスの活動についてより知ることができる。

 今年の長期レジデンスプログラム(LONGSTAY PROGRAM)のテーマに「考える葦」を掲げているPARADISE AIR。その思考と実践の端緒として行われる同イベントは、批評やアート・コレクティブについて知見を広げられる機会になるだろう。

編集部

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