アーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」、作家たちの5年間の日々を紹介する展覧会を開催

千葉県・松戸市で、アーティストに留まらず、キュレーターやリサーチャーなど世界中の様々な人々を受け入れているアーティスト・イン・レジデンス「パラダイスエア」。2013年から活動を始めてからの5年の記録を紹介する展覧会が、渋谷ヒカリエのaiiima1で2018年4月17日〜29日に開催される。

ルース・セレステ(パラグアイ)による松戸駅西口デッキでの作品制作風景 撮影=加藤甫

 パラダイスエアは、2013年に活動を開始した千葉県松戸市に位置するアーティスト・イン・レジデンス。パチンコホール「楽園」(運営:株式会社浜友商事)の協力によって、かつてホテルだったビルを活用して運営されている。

 松戸駅前は江戸時代、水戸街道の宿場町として栄え、江戸と水戸とをつなぐ拠点として多くの旅人が行き交った場所だ。そして現代、世界中のアーティストが旅の途中に立ち寄る経由地として、パラダイスエアは「一宿一芸のトランジットポイント」を掲げ、松戸の歴史や伝統を引き受けながら街そのものの文化をアップデートすることを目指して活動をしている。

 

 その滞在プログラムは、アーティストにとどまらず、キュレーターやリサーチャーらの短期滞在を受け入れる「ショートステイ・プログラム」、公募によって選出されたアーティストの渡航・滞在・作品制作を3ヶ月間フルサポートする「ロングステイ・プログラム」、アーティストと地域をつなぎ多様な学びと交流を促す「ラーン・プログラム」の3つを軸として活動を行なっており、世界中から様々な志を持った人たちが滞在してきた。

スレッシュ・ジャヤラニ(インド)と滞在中の部屋。彼は美術史家でありアーティストであり、バンガロールのアーティスト・イン・レジデンス「1.Shanhtiroad Studio」の運営者でもある。 撮影:加藤甫

 そんなパラダイスエアが、アーティストたちとの5年間の日々と移り変わりを、記録写真や映像、テキストとともに紹介する展覧会「TRANSIT」を開催する。

 展覧会のなかでも注目したいのが、写真家・加藤甫によるパラダイスエア滞在アーティストの日々を捉えたポートレート・フォトだ。設立当初からアーティストの活動を日々写真として残し、記録していくプロジェクトを行ってきたパラダイスエア。活動の記録という視点だけではなく、どんな「人」がやって来たのかを現在進行系でとらえてきたプロジェクトの膨大な写真の中から、コーディネーターが選んだ数点がプリント作品として展示される。

フローレンス・ラム(香港・カナダ)による江戸川河川敷でのパフォーマンス 撮影:加藤甫

 そのほか、これまで5年にわたり毎回行なってきた、ロングステイ・プログラムの記録映像を展示。現在行われている「ロングステイ・プログラム2018」の公募情報と合わせ、松戸の街と密接に関わる長期滞在プログラムの魅力を紹介する。

 また、17年度の活動をまとめたドキュメントブック(活動記録集)も展示初日から販売される。松戸から発信されている作家たちの現在を目撃したい。

編集部

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