抵抗の炎。世界の現在を写した
「世界報道写真大賞」が決定

世界各地の第一線で活躍するドキュメンタリー写真家、フォトジャーナリストを対象とした「世界報道写真コンテスト」の61回目の大賞が決定。そして大賞を含む42名の入賞作品約160点が一堂に集まる展覧会も東京都写真美術館にて開催される。会期は6月9日〜8月5日。

ロナルド・シュミット(ベネズエラ、AFP通信)、2017年5月3日(カラカス・ベネズエラ)

 世界約100会場で開催される世界最大規模の写真展「世界報道写真展」は、第一線で活躍する世界各地のドキュメンタリー写真家、フォトジャーナリストを対象とした公募展だ。61回目の今年は125の国・地域から4548人の写真家が参加。そしてこのたび、

7万3044点の作品の中から大賞が決定した。

 大賞に選ばれたのは、ベネズエラでのデモ活動をとらえたロナルド・シュミットによる作品。ニコラス・マドゥロ大統領への抗議行動中に機動隊との激しい衝突が起こり、火だるまになるデモ参加者の姿を収めたこの写真について、審査委員長のフォトディレクター、マグダレナ・ヘレラは、古典的でありながらも瞬間的エネルギーと力強さ、色合いを備えていることなどを選定理由に挙げている。

イヴォール・プリケット(アイルランド、ニューヨーク・タイムズに提供) 2017年7月12日(モスル・イラク)

 大賞などを含め、受賞作品を紹介するこの展覧会は「現代社会の問題」「一般ニュース」「長期取材」「自然」「人々」「スポーツ」「スポットニュース」「環境」の8部門で構成。イラク軍特殊部隊の兵士によって手当てを受ける身元不明の男児を写した写真、あるいはインド洋のマリオン島で、岩に覆われた海岸線を通り抜ける「イワトビペンギン」の写真など、多種多様な被写体・状況が収められている。

トマス・P・ペシャク(ドイツ)、2017年4月18日(南ア領南極地域マリオン島)

 約45の国と地域を巡回し、年間総計400万人が来場する本展。世界のいまを克明に伝える写真の数々が一堂に会す貴重な機会となる。

編集部

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