フランスの芸術文化勲章は1957年に創設された、フランス共和国文化通信省より与えられる勲章。日本におけるフランス文化の紹介者、普及の実務者、あるいは支援した人物が勲章対象となり、シュヴァリエ(Chevalier)、オフィシエ(Officier)、コマンドゥール(Commandeur)の3段階がある。過去の受章者は川久保玲(1992年シュヴァリエ)、安藤忠雄(1997年オフィシエ、2013年コマンドゥール)、草間彌生(2003年オフィシエ)、坂本龍一(2009年オフィシエ)、杉本博司(2013年オフィシエ)、南條史生氏(2016年オフィシエ)など。
今回、前澤友作が授与されるのはオフィシエ。自身が所蔵するフランスのデザイナー、ジャン・プルーヴェの建築・家具コレクションを中心に構成し、現代芸術振興財団が2016年に駐日フランス大使公邸で開催した展覧会「the CONSTRUCTOR ジャン・プルーヴェ:組立と解体のデザイン」が評価されたことが、今回の受章につながった。
前澤は今回の受章に際し、以下のようにコメントしている。
「このような素晴らしい勲章をいただき、身にあまる光栄です。芸術文化を一人のファンとして楽しみ愛でるうちに、その素晴らしさを家族や友人にも共有したくなりました。いまではその活動が、私の財団の主目的となり、活動範囲も世界に広がっています。芸術文化はその人が誰で何であるかとは関係なく、人と人を繋いでくれます。人を笑顔にし、人に生きる力や考えるきっかけを与えてくれます。たくさんの人に芸術文化が広まれば、人が人を憎むことや、人が人を傷つけることも、もっと少なくなるかもしれません。芸術文化の振興とはつまり、世界を平和にするための活動といえるのではないでしょうか。これからも芸術文化を愛する一人の熱心なファンとして、そしてその素晴らしさを世界中の皆様にお伝えする紹介者として、引き続き芸術文化に深く関わらせていただきたいと切に思います」。
2017年にバスキアの《Untitled》を123億円で落札し、世界のアートシーンに一躍名乗り出た前澤。現在、ブルックリン美術館では同作のみを展示する「One Basquiat」が開催されているが、今回の受章によってますます大きな注目を集めることなるだろう。