北島敬三は1954年に長野県に生まれた写真家。ワークショップ写真学校(森山大道教室)を経て、冷戦のさなかにあった80年代を中心に、東京や沖縄、ニューヨーク、ソ連などをめぐり、そこに暮らす人々の姿をカメラに収めた。
79年に、毎月行っていた写真展をまとめたブックレット『写真特急便 東京』No.1〜No.12でデビューした北島は、2014年より、再び連続写真展と写真集に挑戦。それが「UNTITLED RECORDS」だ。
年に4回、全20回を予定している「UNTITLED RECORDS」に際し、北島は、ソ連の崩壊や市場開放、東日本大震災など、「目の前の現実が、突然何か別のものに姿を変えてしまうような経験」を積み重ねてきたことに言及。目の前の出来事と、メディアがもたらすイメージとを区別することが困難ないま、当事者と非当事者、現実と虚構といった二項対立的な思考に疑問を投げかける。
13回目となる今回は、札幌、大垣、山形などで撮影を行った。今後も、三陸や福島の被災地を含め、北海道から沖縄までを舞台に、自らが撮った写真を何度も読み直しながら撮影を続けていくという。