1942年生まれのフランスを代表する写真家、レイモン・ドゥパルドンは、60年より報道写真家として活動を始め、アルジェリアやベトナムなどの戦地を取材。77年には、チャド内戦のルポルタージュでピューリッツァー賞を受賞している。そのいっぽうで、世界各地の美しい風景や人々の飾らない姿をとらえた写真作品でも人気を誇る。
ドゥパルドンは、64年にオリンピックの取材のために初めて東京を訪れた。その際撮影された2000点を超えるモノクロの写真群は、独自の鋭い観察眼や画面の構成力により高く評価され、その後、メキシコ、ミュンヘン、モントリオール、モスクワと歴代オリンピックを撮影した作品がまとめられた写真集『J.O.』(2004)は今もロングセラーとなっている。
本展では、2016年、2度目のオリンピックを4年後にひかえた東京の街を、ドゥパルドンがカラーで撮影した新作を展示する。モノクロの過去作も合わせて展示され、東京の街と写真家・ドゥパルドンの過去と現在が象徴的に示される。