「芸術は、歩くことからはじまる」
中島晴矢の個展「麻布逍遥」が麻布で開催中

ラッパーとしても活動中の現代美術家・中島晴矢が東京都港区麻布を舞台に制作した新作「麻布逍遥」の個展。麻布・SNOW Contemporaryで7月1日まで開催。

中島晴矢 麻布逍遥 2017 Photo by Kei Morishita

 中島晴矢は1989年神奈川県横浜市生まれ。法政大学文学部日本文学科を卒業後、映像、絵画、立体やパフォーマンスなど多様な手法を用いながら、複雑で困難な現代社会を文学的な風刺を伴って作品化し、注目を集める気鋭の若手美術家だ。

 「芸術は、気ままにあちこちそぞろ歩くことからはじまる」と語る中島は、これまで街を歩く姿を通じて、その土地の社会性と自身の叙情的な側面を思想の連鎖によって紡ぐ作品を制作してきた。大通りから裏路地へ、高層ビルから住宅街へと景色が移り変わるように、中島は文学、政治、美術、サブカルチャーを横断している。

中島晴矢 Ark Valleys 2017 ゼラチンシルバープリント・バライタ紙 406×508mm 撮影協力 : 間庭裕基

 新作《麻布逍遥》は自身も中高校生時代を過ごしたという麻布を舞台に、あちこちを散歩して制作された作品。「逍遥」とは、散歩という意であり、近代文学の祖・坪内逍遥の名でもある。

 本展は、落語『井戸の茶碗』の人情噺をベースに、「麻布という街をリミックスし読み替えて、いまと異なるあり得たかもしれないオルタナティヴな東京を夢想すること」が、企図するところであると中島は語る。

 変わり続ける都市・東京を自由に歩く中島の姿は、新たな風景を創出し、私たちに新鮮な気づきを与えてくれるだろう。

編集部

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