2012年に熊本市現代美術館を皮切りに始まった「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」が全国を巡回し、これまでに80万人以上を動員。また16年には、東京・原美術館で「篠山紀信展 快楽の館」を開催した写真家・篠山紀信が新たな被写体に挑む。それが「ラブドール」だ。
「ラブドール」は、かつて「ダッチワイフ」と称され、男性用の愛玩用として誕生した。しかし、東京藝術大学大学院修了生を擁するオリエント工業がつくり出す「ラブドール」によって、そのクオリティは世界最高水準の技術を持つものとして、国際的に高く評価されている。
今回、篠山紀信はこの「ラブドール」と対峙した。人間そっくりにつくり出されたラブドールという存在。篠山は開催に際し、次のような言葉を寄せている。「想像を超えた美の存在に遭遇したとき、僕は近未来の迷宮にいるような不安を感じる。この心の動揺こそが僕に写真を撮らせているようだ」。
これまで生きた人間を数多く撮影してきた篠山は、命を持たないラブドールをどのように写すのだろうか。
なお、本展開催に先駆けて、小学館より写真集『LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN』も4月19日に発売されるので、あわせてチェックしたい。