現在、国立新美術館で開催中の「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」でデビュー作《Her 19th Foot》(1993)が展示されている現代美術家・曽根裕。そのアップデート版とも言える《Any Color You Like》が、表参道にあるStandByで展示される。会期は9月17日〜28日の12日。

曽根は1965年生まれ。東京藝術大学で美術と建築を学んだのち、作家活動を開始。現在はメキシコ、中国、ベルギー、日本にスタジオを構え、国内外で活動している。その作品は彫刻を中心に絵画、ドローイング、写真、ビデオ、パフォーマンスなど多岐にわたる。
今回展示される《Any Color You Like》は、《Her 19th Foot》を受け継ぎ、スピード仕様にアップデートしたフォルムとマルチカラーリングを施したバージョン。
《Her 19th Foot》は、開館したばかりの水戸芸術館のために制作されたもの。まず曽根はワークショップによって、一列に連結した19台の自転車を19人の乗り手によって走行を実現させるための実験を行った。その結果は傾斜を利用した3メートルの前進というものだったが、曽根は一列に連なった19台の先頭と最後尾のユニットをつなげ、直径およそ6メートルのサークル状にして作品を展示し、自立・自走という望んだ姿を象徴的に現した。

©︎Yutaka Sone Studio
Courtesy of the artist, Art Tower Mito
Collection of Art Tower Mito
Photo by Ken Kato
いっぽう本作は、自転車のリアホイール部だけを一輪持ち、ハンドルは前方ではなくサドルの後部に特殊な造作で据えられている。その普通ではないパーツの構成とそれを支えるための形状をしたオリジナルフレームからなる1ユニットが、ボールジョイントという極めて不安定な球体装置のみで2台目、3台目と連結されている。現存するのは、ダークグリーン、ターコイ ズ、ライムグリーンの3色が配された3ユニットのみ。同作は、次の新しい円環を組むことを 目指して製作が継続している。

©︎Yutaka Sone Studio
Courtesy of the artist, Yutaka Sone Studio
本展では、実際に乗車体験(※要予約)ができるとともに、あわせて制作された油彩の新作、90〜00年代の貴重な映像作品・記録映像も同時展示される貴重な機会だ。
























