初めての協力が生み出す意義深い展覧会
両館の初めてのコラボレーションについてゴーデンカーは、「私が館長に就任したときから、キーファーとの展覧会を開催することは明確な目標だった」と振り返りつつ、次のように話した。「彼の作品は、テーマの多層性やスケールの大きさから、展示には十分なスペースが必要であり、それを可能にするための協力が不可欠だった」。ウォルフ館長に提案し、両館の協働が実現したことで、たんなる作品展示を超え、過去と未来、人間の存在や再生といった普遍的なテーマに迫る内容となったという。
また、ゴーデンカーは「ゴッホ美術館とアムステルダム市立美術館のような規模の大きな美術館が、ときにライバルとみなされることがあるなかで、このように協力し合うのは非常に珍しいことだ。しかし、今回のコラボレーションは非常に実り多いものとなり、互いに多くを学び合う機会となった」と述べている。いっぽうで、ウォルフは「私たちそれぞれの異なる観客層をつなぎ、共通の物語を紡ぎ出すことが、現代において非常に重要だ」と語る。
今回の展覧会は、キーファーの作品が持つ壮大なスケールと深遠なテーマを体感できる貴重な機会となるだろう。本展終了後には、ゴッホ美術館とのコラボレーションにより、キーファーとゴッホの作品がロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでも展示される予定だ。
なお、2025年3月下旬から6月下旬の同時期には、京都市とファーガス・マカフリー・ギャラリーの共同企画によるキーファーの展覧会も世界遺産・二条城にて開催される予定。アムステルダムと京都、ヨーロッパとアジアという異なる文化的背景のなかで展開されるこれらの展覧会は、どのような対話を生み出すのか、ぜひ楽しみにしてほしい。