アムステルダムで実現するキーファーの壮大な芸術の旅
ゴッホ美術館では、フィンセント・ファン・ゴッホとアンゼルム・キーファーの長年にわたる深い結びつきが紹介される。1963年、キーファーは奨学金を受け、ゴッホの足跡をたどる旅に出た。ファン・ゴッホの生まれ故郷であるオランダのズンデルトからベルギー、フランスへと続くこの旅は、キーファーにとって重要な転機となり、ゴッホは彼の生涯にわたる創作のインスピレーションの源となった。
本展では、ゴッホの《カラスのいる麦畑》(1890)など7点の絵画がキーファーの初公開の絵画や素描作品と並べられ、両者のテーマや表現の重なりが浮き彫りにされる。ゴッホ美術館館長エミリー・ゴーデンカーはオンラインで行われた記者会見で、「アンゼルム・キーファーは若い頃からゴッホの作品に触発されてきた。その影響は、『ひまわり』や風景画の構図といった要素に直截的に表れている。彼の最近の作品は、ゴッホの影響が現在も続いていることを示している」と述べている。
アムステルダム市立美術館では、キーファーとオランダ、とくに同館との長年の関係が紹介される。同館は1980年代に《Innenraum》(1981)や《Märkischer Sand》(1982)をいち早く収集し、1986年には高く評価されたキーファーの回顧展を開催した。今回の展覧会では、これらのコレクションが一堂に展示されるだけでなく、キーファーの新作インスタレーションも披露される。
なかでも注目されるのは、展覧会タイトルにもなっている《Sag mir wo die Blumen sind》。24メートルに及ぶ巨大なこの作品は、アムステルダム市立美術館の歴史的な階段周辺を埋め尽くす没入型のインスタレーションであり、絵具、粘土、軍服、乾燥したバラの花びら、金を用いて制作されている。この作品は、人間の生と死、再生の循環を象徴し、観客に深い感動を与えるものとなる。また、鉛と写真で構成される《Steigend, steigend, sinke nieder》というもうひとつのインスタレーションも展示され、人間の歴史の重みを表現するキーファーの象徴的な手法が示される。
アムステルダム市立美術館館長のライン・ウォルフは、「アムステルダム市立美術館はキーファーの作品受容において重要な役割を果たしてきた。この展覧会では、過去の代表作と新作が並ぶことで、キーファーが過去と未来を見つめ直す瞬間を目撃することができるだろう」と述べている。