アウトサイダー・アーティストとして世界的に高く評価される、アドルフ・ヴェルフリ。彼の日本で初めての大回顧展が、兵庫県立美術館、名古屋市美術館に続き、東京ステーションギャラリーへ巡回する。
1864年、スイス・ベルンの貧しい家庭に生まれたヴェルフリは、31歳のとき統合失調症と診断され、精神科病院の病室で創作活動を開始。作品を人に見せることにもお金に換えることにも興味を持たず、30年以上にわたり一心不乱に描き続けた。
架空の自叙伝『揺りかごから墓場まで』をはじめ、理想の王国を築く方法を詳細に説いた『地理と代数の書』、自らのレクイエムとして描き未完のままに終わった『葬送行進曲』など、余白を残さず絵と文字と音符で画面を埋め尽くすスタイルで描かれた壮大な物語は、生涯で2万5000ページにも及ぶ。本展では、これまで門外不出とされてきた作品や、全長4メートルを越える大作《アリバイ》など、74点が展示される。