特別展「PROJECT UMINOUE 五十嵐靖晃 海風」
千葉県立美術館が開館50周年を記念して開催中の、千葉県出身のアーティスト・五十嵐靖晃による回遊型美術展覧会「海風」は9月8日まで。
五十嵐は1978年千葉県生まれ。人々との協働を通じてその土地の暮らしと自然とを美しく接続させ、景色をつくり変えるような表現活動を展開。その作品は、自然と人間の関わりをアートとして表現し、多様な人々をつなげるものだ。2005年にヨットで日本からミクロネシアまで約4000キロメートルを航海した経験をもとに「海からの視座」を活動の基盤としている。
本展では、美術館の建築空間を活かした新作インスタレーションや収蔵作品とのコラボレーション、五十嵐の活動のドキュメント展示など多岐にわたる展示が展開。また、千葉みなとエリアをフィールドに屋外展示を行い、この土地の魅力を明らかにし、かつての海の上である埋立地に新たな文化を創造することを試みている。
会期:2024年7月13日〜9月8日
会場:千葉県立美術館ほか
住所:千葉県千葉市中央区中央港1-10-1
電話番号:043-242-8311
開館時間:9:00〜16:30(金土及び休前日は〜19:30) ※入場は閉館30分前まで
料金:一般1000円 / 高校・大学生500円
※屋外展示の観覧は無料
※中学生以下、65歳以上、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1人無料
「日本のまんなかでアートをさけんでみる」(原美術館ARC)
原美術館ARCでは、毎年、同館から発信する意味や意義を考慮したテーマの展覧会を開催している。2024年春夏季は、「日本のまんなかでアートをさけんでみる」と題し、おもに同館コレクションと原六郎コレクションから厳選した作品が展示されている。
群馬県渋川市、「日本のまんなか」と称される街に原美術館ARCは位置する。古くから三国街道の宿場町として栄え、伊香保の名湯を有し、赤城や榛名の山々をのぞむ渋川市は、「日本の主要四島で最北端の北海道宗谷岬と最南端の鹿児島県佐多岬を円で結んだ中心に位置する」ことから「日本のまんなか」とされ、夏にはユニークな「へそ祭り」が開催されるなど独自の文化を育む街である。しかし、「日本の中心」、「真ん中」と称される街はほかにもある。つまり、物事をとらえる角度や尺度を変えれば、中心はその位置を様々に変化させることができる。
本展では、原美術館とハラ ミュージアム アークをモチーフに制作された佐藤時啓「光-呼吸」全12作品を展示。これらはすべて、原美術館最後の展覧会「光-呼吸 時をすくう5人」展出品作だ。また、陽光のきらめきや雲の造形、草木の香りや鳥のさえずりなど、豊かな自然とその移ろいとともにある、時間芸術のような原美術館ARCでのアート体験を展開。会場では、アーティストとの交流と信頼関係を礎に収蔵された作品の数々を展覧している。
会期:2024年3月16日~9月8日
会場:原美術館ARC
住所:群馬県渋川市金井 2855-1
電話:0279-24-6585
開館時間:9:30~16:30※入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1800円 / 70歳以上 1500円 / 大学・高校生 1000円 / 中学・小学生 800円
「尾角典子 #拡散」(十和田市現代美術館 サテライト会場 「space」)
ロンドンと京都を拠点に活動するアーティスト・尾角典子は、世界を構成する法則や超越的な力に関心を持ち、哲学、宗教学、量子力学、情報熱力学などの理論体系に、神話、伝説、オカルトといった民間伝承の物語や思想を織り交ぜ、コラージュ、アニメーション、VRやAIといった現代のテクノロジーを複合的に用いて制作している作家だ。
9月8日までの本展では、人型にくり抜かれたパネル、マイク、2台のモニターとそれに接続された画像生成AIなどを用いたインスタレーションが展示される。鑑賞者は、自分の名前をマイクでAIにインプットすることで、モニターに表示されている「space」を変化させることができ、その結果をインスタグラムで拡散することを促される。この作品は、小説家ウィリアム・バロウズの「Language is a virus from outer space(言語は外部から来たウイルス)」という一節に着想を得て制作された。
ウイルスの生態に着目し、人間に影響を与える言語やデジタル情報技術との類似性を見出すことで、尾角の得意とする領域横断的な視点を提示している。
会期:2024年7月6日~9月8日
会場:十和田市現代美術館 サテライト会場 「space」
住所:青森県十和田市西三番町18-20
電話:0176-20-1127
開館時間10:00~17:00
未来のかけら: 科学とデザインの実験室」(21_21 DESIGN SIGHT)
東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」は9月8日まで。会場のレポートはこちら。
本展では、展覧会ディレクターの山中俊治が大学の研究室で様々な人々と協働し生み出してきたプロトタイプやロボット、その原点である山中のスケッチを紹介するとともに、専門領域が異なる7組のデザイナーやクリエイター、科学者、技術者らのコラボレーションによる多彩な作品を展示されている。
最先端技術や研究における先駆的な眼差しとデザインが出会うことで芽生えた「未来のかけら」を通じて、不確かな未来に対する可能性やデザインの楽しさに向きあうきっかけが創出されている展覧会だ。
会期:2024年3月29日〜9月8日
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
電話番号:03-3475-2121
開館時間:10:00〜19:00 ※入館は18:30まで
料金:一般 1400円 / 大学生 800円 / 高校生 500 円 / 中学生以下無料