「地球環境」「ロボット」「老い」といった新たな常設展示を昨年発表した日本科学未来館。25年春には、加えてふたつの常設展示「量子コンピュータ」「宇宙と素粒子」がオープンとなる。
このふたつに共通するテーマは「知と技の最前線」だ。容易に知ることができない「量子」や「宇宙」という未知の世界の探究に高度な技術開発で挑戦し、成果を未来へつなぐ科学技術研究の営みを紹介。未来への可能性に満ちた壮大な研究開発の最前線を、体験的な展示を通して楽しみながら理解できるコンテンツになるという。
「量子コンピュータ」とは、ブラックホールや光合成のメカニズムのように、これまで謎とされていた自然界の現象の解明や、膨大な時間を要する計算を可能にすると期待されている技術だ。新展示では、いま研究者が実現に向けて開発に挑んでいる量子コンピュータの仕組みを、直感的に楽しく体験できるものとなる。そして、現在広く使われているものとはまったく違う仕組みのコンピュータがもたらす未来を、展示を通して想像していくという。
「宇宙と素粒子」の展示では、未知なる宇宙を探究するために生みだされてきた数々の観測技術と、粒子加速器という巨大装置を用いて宇宙の初期状態を再現する研究をあわせて紹介。とくに近年、可視光や電波、赤外線、X線などの光による宇宙の観測に加え、ニュートリノや重力波といった光以外の観測を組み合わせ、多角的に天体現象をとらえる「マルチメッセンジャー天文学」が大きく進展しているといった現状がある。ひとつの観測手段では部分的にしか理解できなかった現象を複合的に見ていくことで、その全体像を明らかにしていく研究者たち。その情熱と、積み重ねられてきた「知」の厚み、そして宇宙の奥深さを体感できるものとなる。
今回の新常設展の追加に際し、同館館長の浅川智恵子は次のようにコメントしている。
「人類は未知の世界を探究して得た新たな知から、未来につながる技術を生み出し続けています。今回は、こうした研究者たちの努力の一端を感じていただける展示です。探究学習の入り口としても活用していただけるよう工夫しています。ご期待ください」
(プレスリリースより抜粋)