昨年、ルーヴル美術館展やテート美術館展、そして蔡國強展、イヴ・サンローラン展など数々の印象的な展覧会を開催した国立新美術館。同館が2024年の企画展・プログラムを発表した。
「NACT View 04 和田礼治郎:FORBIDDEN FRUIT」(1月24日〜6月10日)
まず、1月24日から小企画としてドイツ・ベルリンで活動する彫刻家・和田礼治郎の個展「FORBIDDEN FRUIT」が開催される。
和田は、物理的な現象や力学による独自の手法を通じて、宇宙、生命、時間などの形而上学的な主題に取り組んだ作品で知られるアーティスト。ときに環境に直接的に介入し、多次元的な配置が特徴的なその彫刻作品は、見る者の知覚と作品が置かれた空間に作用を及ぼす。本展では、果物を用いたインスタレーション作品《FORBIDDEN FRUIT》が正面入口に展示され、来場者を出迎える。
「マティス 自由なフォルム」(2月14日〜5月27日)
2月、2021 年にコロナ禍により延期を余儀なくされた「マティス 自由なフォルム」展がようやく開催することになる。
本展は、フランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイルなどの作品や資料、約150点を紹介するもの。なかでも同館が所蔵する切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌード IV》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される。展覧会の詳細はこちら。
「遠距離現在 Universal / Remote」(3月6日〜6月3日)
3月に入り、同館の自主企画展「遠距離現在 Universal / Remote」が行われる。本展は、コロナ禍中に構想されたもので、対面での打ち合わせが叶わず、リモート会議で準備がすすめられたという。人々が会うことなくリモートでつながる利便性に隠された現実や世界観のゆらぎなど、デジタル社会を映し出す意欲的なグループ展だ。
出品作家は井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ+ヒト・シュタイエル+ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子。「Pan- の規模で拡大し続ける社会」「リモート化する個人」を軸に、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会のあり方に取り組んだアーティストの作品が紹介される。
「CLAMP展」(7月3日〜9月23日)
7月、漫画を中心に活躍し、国内外で絶大な人気を得る女性4人の創作集団・CLAMPのデビュー35周年を記念した展覧会が開催される。
本展では、少年漫画、少女漫画、青年漫画、と幅広いジャンルにおいて多様な作品を世に送り出してきたCLAMPの活動の軌跡をたどり、出版社や掲載雑誌を横断し、デビューから現在までの作品を、漫画原稿を中心に展示する。
「田名網敬一 RETROSPECTIVE(仮)」(8月7日〜11月11日)
続いて映像、ペインティング、立体、デザイン分野を横断しながら旺盛な活動を続ける田名網敬一の世界初となる大規模回顧展が8月に行われる。
本展は、田名網の半世紀以上にわたる創作活動を紐解くキーワードとなる「記憶」をたどり、その作品の全貌に迫るもの。新作のペインティングや立体作品、アニメーションに加え、60年代後半から70年代初めにかけて制作された貴重なグラフィックデザインやイラストレーション、80年代にかけて制作された極彩色の木彫シリーズ、近年スタジオで発見された最初期のポップアート作品などが展示される。
「絵のアティテューズ──荒川ナッシュ医(仮)」(10月下旬〜12月中旬)
さらに、同館の自主企画展として「絵のアティテューズ──荒川ナッシュ医(仮)」展が10月下旬から開催される。
海外で発表の場を重ねてきた荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅえい)は、「私」という主体を再定義し、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現してきた。本展は、様々なアーティストと共同作業を続ける荒川ナッシュと画家たちとのものであり、展示空間にパフォーマンスを組み入れ、多彩な人々との共同作業を重視して観者と絵画との関係を問いかける。
なお、展覧会の関連プログラムとしては講演会やシンポジウム、アーティストトークなど、多彩なプログラムも開催。現代美術、ファッション、デザインなど様々な分野から講師を招き、参加者とともにアートについて考え体験するワークショップや、同館建築の特徴や機能について紹介する建築ツアー、これからの時代を生きるユースと一緒に「表現」について考えるユースプロジェクトなども予定されている。