京都を代表する芸術系大学のひとつである京都精華大学が、その開学55周年を記念した展覧会「FATHOM—塩田千春、金沢寿美、ソー・ソウエン」を開催する。会期は11月17日〜12月28日。
京都精華大学は1968年開学。国際文化学部、メディア表現学部、芸術学部、デザイン学部、マンガ学部という5つの学部と大学院を有し、表現を通じて社会に貢献する人を育成している。
本展は、世代は異なるものの、それぞれ京都精華大学の芸術学部や芸術研究科で洋画を専攻した塩田千春(1996年京都精華大学美術学部=現芸術学部卒業)、金沢寿美(2005年京都精華大学大学院芸術研究科修士課程修了)、ソー・ソウエン(2019年京都精華大学芸術学部造形学科洋画コース卒業)の3作家をフィーチャーするもの。
3人はそれぞれ「絵画」の範疇を飛び出し、空間全体を作品とするインスタレーションや、場所の歴史や記憶をテーマにした作品、「自己とは何か」を自身の身体を投じて探るパフォーマンスなど、多岐にわたる表現領域で活動を展開している。また、大学卒業後にドイツに渡った塩田、在日韓国人三世として育った金沢、2020年にアーティストネームを改名したソーは、アイデンティティについての問いを表現の核に据えて制作している点も共通している。
本展タイトルの「Fathom(ファゾム)」は、人が両手を左右に広げた時の幅に由来する「身体尺」のひとつで、水深を図るのに用いる単位(6フィート=183cm)を意味している。また「理解する」「探究する」という意味も持つ言葉であり、自らの身体行為をとおして何かを探り、浮かび上がらせようとする3名の態度・手法を象徴的に表しているという。
会場では、塩田が1000通以上の手紙を用いた新作インスタレーションを発表するほか、三者三様のインスタレーションが520平米の空間を埋める予定だ。