第7回
2019年8月号 特集「塩田千春」
ベルリンを拠点に国際的に活躍する塩田千春は、記憶、存在、生と死、沈黙といった、人間の根源的な問いを テーマにした大型インスタレーションなどで知られる。本特集では、ベルリンのアトリエで収録した最新インタビューとともに、6月から始まった森美術館での個展レポート、300以上にわたる展覧会歴と私的なエピソードによる年表、関係者へのインタビュー、論考などから、塩田千春の人生と作品にある思想に迫る。
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第7回
ベルリンを拠点に国際的に活躍する塩田千春は、記憶、存在、生と死、沈黙といった、人間の根源的な問いを テーマにした大型インスタレーションなどで知られる。本特集では、ベルリンのアトリエで収録した最新インタビューとともに、6月から始まった森美術館での個展レポート、300以上にわたる展覧会歴と私的なエピソードによる年表、関係者へのインタビュー、論考などから、塩田千春の人生と作品にある思想に迫る。
第6回
近年、アートマーケットの活性化が著しい。だがしばしば高額な落札額に「なぜこれにそんな値段が?」 「この作品にはどんな価値があるの?」と困惑することがある。その原因は、アートの価値がどんなシステムのなかでつくられるのか、価格と価値がどんな関係性にあるのかが不透明だからではないだろうか。そこで本特集では、キュレーター、ギャラリスト、批評家といったプレイヤーたちが、どのように価値づくりを支えているのか、その仕組みを解明する。さらにそうしたシステムを構成する美術館や画廊、マーケットといった現場で、いまどんな課題が迫っているのかを明らかにし、これからのアートの価値とは何かを考える、道筋を照らし出したい。
第5回
新型コロナウイルスは世界を大混乱に陥れた。グローバル経済に伴う人の移動がウイルスを拡散させる新たなリスクになり、加速し続ける資本主義というシステムを再考させる契機にもなっている。現在私たちが社会の前提としている、商品や労働の概念は、資本主義が生み出したものであり、作品が「商品」として市場で売買され、作家の創作活動が「労働」ともされるアートの「生産関係」もまた同様である。本特集では、それらをとらえ直し再構築するために、資本主義社会への問いを投げかけるアーティストやアートプロジェクトを取り上げる。われわれはその経済システムとの関係をどうつくり変えることができるか? 資本主義社会の新しいかたちとその可能性を、アートを切り口に探りたい。
第4回
今日、エンターテインメントを超えて様々な角度から研究の対象になっている「ゲーム」。本特集では、ゲームの手法を使ったメディア・アートから、芸術性を追求するゲーム作品、さらには現代美術における遊戯性の系譜まで、広くゲームとアートの領域が重なるところにある実践をとりあげ、その関係と、新たな表現の可能性を考える。
第3回
気候変動や災害、感染症により世界中が大きな危機を迎えるいま、私たちは「自然」を搾取可能な資源と見なす態度の限界に直面しているのではないだろうか。この問題に対し、現代のアーティストたちは鋭敏な感覚で応答する。彼/彼女らが作品を通して提示する、オルタナティヴで新鮮な環境観・地球観・生命観。それを本特集では「新しいエコロジー」と呼びたい。自然環境と人間の関係にパラダイムシフトを呼び込むこれらのアートは「生きること」とは何かという、根源的な問いをも照射するはずだ。
第2回
一企画「表現の不自由展・その後」の中止と再開、そして文化庁の補助金不交付決定を引き起こした、あいちトリエンナーレ2019。その過程で、介入と規制、芸術祭や文化行政、市民社会における美術のあり方など、美術や表現の前提となる制度上の問題が浮き彫りとなった。本特集では、再び同じことが繰り返されないために、また自主規制を回避するために、まずは「規制」を生み出す仕組みや原因を明らかにし、それに対処するにはどんな方法があるのかを紹介する。そしてこれからも現代美術を生み出し、伝え続けるために、この事件から顕在化した、できるだけ多くの論点や提言を掲載し、議論を続ける端緒とする。
第1回
およそ100年の歴史を持つ日本のアニメーション史のなかで、2010年代はひとつの転換期と言えるだろう。とくにこの数年、デジタル技術や鑑賞環境の変化による、作品制作のシステムやコンテンツの革新が起きつつある。本特集では、そうした動きを支える現場のつくり手と作品にスポットを当て、新たな技術を駆使しながら、いかにして表現の飛躍が生み出されているのか、またそこにどんな理念があるのか、創作の原点に迫る。