横浜市民ギャラリーで恒例の「新・今日の作家展」が開催へ。来田広大と古橋まどかを紹介

横浜市民ギャラリーによる毎年恒例の現代美術展「新・今日の作家展」。今年は「ここにいる―Voice of Place」を副題に、来田広大と古橋まどかの2名を紹介する。会期は9月16日〜10月9日。

古橋まどか El Nadir 2019 オアハカ現代美術館(メキシコ)の展示風景より撮影=Alfredo Orozco Arellanes ※参考作品

 横浜市民ギャラリーが開館した1964年から40年にわたり開催した「今日の作家展」。それを継承し、同時代の表現を紹介・考察する「新・今日の作家展」が9月16日〜10月9日に開催される。

 今年度は、「ここにいる―Voice of Place」を副題に、来田広大と古橋まどかといった2名のアーティストを紹介。対人距離や移動に制限のあったコロナ禍を経たいま、ふたりの作品を通じて場や土地が内包する時間、人々や生物の身体や記憶などに思索を巡らせ、自己や他者に対する内的な気づきを得る。

 来田は1985年兵庫県生まれ。2010年に東京藝術大学大学院美術研究科修士課程を修了。土地や場所と人との関係を探るため、山などにおけるフィールドワークをひとつの拠点にしている来田は、そこから臨む風景を地図ととらえ、作品に対峙した際「いまここにいる」という自覚を導く、チョークを用いた制作を中心に行っている。

来田広大 Crawl #1 2022 キャンバスに黒板塗料、チョーク、コンテ
撮影=吉本和樹 ※参考作品
来田広大 東京には空がない(Rooftop Drawing) 2021 映像 5分33秒
撮影=吉本和樹 協力=KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS, CLEAR GALLERY TOKYO

 いっぽうの古橋は1983年長野県生まれ。2013年にロイヤルカレッジオブアート芸術修士課程を修了。自身に関わる地域や場所のなかにある自然や人工物の変遷や軌跡に着目し、自らの経験との関係性を掘り下げ、リサーチをもとに立体や映像、収集物を用いたインスタレーションを発表してきた。

古橋まどか 焚く、枯ぶ、渡る 2022 「DOMANI plus @愛知『まなざしのありか』展」の展示風景より
撮影=大塚敬太+稲口俊太 画像提供=Minatomachi Art Table, Nagoya

 同世代の中堅作家で国内外での展示経験が豊富なふたりのアーティストだが、本展は首都圏の公立美術施設での貴重な発表の機会。それぞれ1フロアを使い、本展テーマに共鳴しながらも外観がまったく異なる作品が展示される。

来田広大 歩荷 2021-22 「いちはら×メキシコ 月出工舎国際交流企画展『旅のかたち』」(市原市)の展示風景より
協力=荒井規向 撮影=吉本和樹
古橋まどか 焚く、枯ぶ、渡る 2022 「DOMANI plus @愛知『まなざしのありか』展」の展示風景より
撮影=大塚敬太+稲口俊太 画像提供=Minatomachi Art Table, Nagoya

 また、本展では毎年、出品作家のインタビューを事前収録。会場で上映、無料配布の小冊子に掲載されるインタビューを通じ、作家の制作意図や背景を知ることができる。

 なお、今年は荒井規向(ラテンアメリカ研究者)や藤本悠里子(キュレーター/コーディネーター)、野上貴裕(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)などのゲストを招き、出品作家と作品について様々な角度から語る対談、鼎談も実施。こちらのイベントもあわせてチェックしたい。

編集部

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