メディア・アーティスト落合陽一と岐阜県高山市の日下部民藝館による特別展「落合陽一 ヌル即是計算機自然:符号化された永遠, オブジェクト指向本願」展が9月17日〜11月5日の会期で開催される。
重要文化財である日下部家住宅は、1966年より日下部民藝館として建物の公開と日下部家所蔵の文物の展示、建物を活かした多様な文化事業を行ってきた。2021年より落合と始まったこのプロジェクトは、飛騨の地で育まれてきた歴史や自然、伝承された数多く物語を考察することによって浮かび上がったモチーフを、落合が探求している「デジタルネイチャー」の思想と掛け合せ、同館の空間全体を用いてインスタレーション表現をするものとなっている。
昨年開催された「遍在する身体 交錯する時空間」展に続く本展では、プログラミングの設計における「オブジェクト指向」の考え方と、現代思想の新たな哲学理論で用いられる「オブジェクト指向存在論」を中心に据え、「デジタルネイチャー」の世界に対する落合の芸術的計算機科学的哲学的探求を追体験することができるという。
会場では、日下部民藝館を巨大な曼荼羅に見立て、空間に浮遊する真言密教的モチーフと過去の肉声を組み合わせたインスタレーションを展開。オブジェクト指向という点でデジタルネイチャーと共通する真言的曼荼羅世界の森羅万象を表現するほか、落合が本展のために新たに手掛けた「オブジェクト指向菩薩」が曼荼羅のなかの大日如来に対をなす存在として、自然と生命の全体を理解する新たな視点を提示するという。
ほかにも、会期中には落合によるギャラリートークや、「義足のダンサー」大前光市とAIを使ってリミックスされた落合の音楽とのコラボレーションイベント、日本フィルハーモニー交響楽団によるサテライト公演など多数のイベントが実施予定だ。展示に足を運ぶ際はこちらもあわせてチェックしてほしい。